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稲盛氏が「コピー代2円」と答えた秘書を叱った訳 伝えたかった「労務コスト」と「経営者の視点」

東洋経済オンライン / 2024年11月4日 18時0分

「おそらく、皆さんは『こうすればいい』とわかっていたのに、自分の評価を気にし、上司に気に入られたい、部下に嫌われたくない、失敗したらどうしようと、悩み、結局実行できなかったのではないか」と指摘したあと、「今回は最後のチャンスなので、“勇気”を持ってやるべきことを必ず実践してほしい」と熱く訴えたのです。

そして、そのときには“素直さ”が必要だとも教えています。

「他者から素直に学ぶことができる人だけが成長できる」のだから、自分の至らなさを認め、お客様や部下の声を真摯に聞く素直さが大切になるというのです。

そのうえで“努力”をする。「皆さんリーダーが先頭に立ち、誰にも負けないような努力をしなくてはなりません。部下が見てあそこまで上司が必死にやっているなら、自分も頑張ろうと自然に思えるくらいに努力する必要がある」というのです。

それに加え、「それぞれの職場の夢を部下に語れる人でなくてはなりません。今は大変厳しいけれど、これを乗り越えた暁には自分の職場は『こうしたい』と明るく夢を語り、それを部下全員と共有できるようにしなくてはなりません。夢があれば、それがエネルギーとなり、職場を明るくするはずです」と、“夢”を語る意義を伝え、励ましています。

感謝することで人は謙虚になれる

また、お客様や取引業者など関係するすべての人に“感謝”することの大切さも強調しています。「感謝することで、人間は謙虚にもなれ、優しくなれる」からです。

このような姿勢で再建に取り組まなければいけないのですが、欠かせないのが“経営者意識”と“採算意識”だと稲盛さんは指摘しています。

「再建を成功させるためには皆さんが『経営者意識』、『採算意識』を持つことが不可欠になる」と強く訴えたのです。幹部の人たちが採算管理もできる経営者に成長できれば、結果として各部門の収益性も向上し、その集合体としてJALの収益性も高まるというのです。

こうした稲盛さんの一連の発言のなかにある「気概、反省、謙虚、勇気、素直、努力、夢、感謝、経営者意識、採算意識」という10の言葉は、どのような事業であれ、それを再生させるキーワードになると私は考えています。

大田 嘉仁

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