北海道新幹線「開業延期」で迷走する並行在来線 住民の意見を無視し、道はバス転換にこだわる
東洋経済オンライン / 2024年11月4日 6時30分
並行在来線協議会が1年3カ月ぶりに再開
2030年度末に札幌延伸開業が予定されていた北海道新幹線がトンネル工事の遅れを理由に開業延期に追い込まれた。問題となったのは、長万部―倶知安間に建設中の羊蹄トンネル比羅夫工区で巨大な岩塊が出現したことにより工事が大幅に遅延していること。さらに、新小樽―札幌間を結ぶ札樽トンネルの工事では基準値を超えるヒ素や鉛などの重金属を含む残土処理の問題も表面化。2024年度から始まった作業員の残業規制強化や、北海道千歳市で建設が進む次世代半導体工場ラピダスの工事に関係した作業員不足なども問題も重なり、開業時期が見通せない状況となっている。
【多数の写真を一挙公開】南正時氏撮影、国鉄時代に北海道を駆け抜けた「急行列車」の記憶
そのような状況で、並行在来線後志ブロックの協議が中断したままの異常事態が続いていたが、2024年8月28日になって1年3カ月ぶりに協議会が開催された。
北海道新幹線の札幌延伸開業が「5年程度は遅れそうだ」ということは、すでに2022年頃から関係者の間で噂されていたことではあったが2024年5月8日、建設主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下、鉄道・運輸機構)の藤田耕三理事長が「2030年度の札幌開業が困難である」と5月8日、斉藤鉄夫国土交通大臣に報告した。
これを受けて鈴木直道知事は、その後の記者会見の場で「なぜ、このタイミングで判断に至ったのかという理由、工期短縮するためのこれまでの取り組みや成果、開業延期の影響への対応など詳細について、丁寧に説明していただく必要がある」と遺憾の意を表明した。さらに、鈴木知事は北海道新幹線の札幌延伸については「道民の悲願」と強調。その後、5月14日になり国土交通省を訪問、斉藤大臣に早期開業を要望した。
5月29日には鉄道・運輸機構の藤田理事長が札幌市を訪問し鈴木知事や沿線自治体の首長らに謝罪し工事の状況を説明。鈴木知事を始め沿線自治体の首長らは鉄道・運輸機構に対して納得できないと言わんばかりに詰め寄り、八雲町の岩村克詔町長は「なんだ、日本の土木技術もたいしたことないな」と発言し物議をかもした。鈴木知事を始めとした北海道の首長らは、鉄道・運輸機構を一方的に批判するばかりで、いっしょに問題解決を図ろうとする姿勢は見られなかったのは残念だ。自然相手の長大トンネル工事は掘ってみなければわからない側面がある。
泥沼化の並行在来線は問題だらけ
この記事に関連するニュース
-
今週7か月ぶりに再開したばかりも…また掘削停止、岩盤発見 北海道新幹線「羊蹄トンネル」
STVニュース北海道 / 2024年11月22日 14時30分
-
わずか1日で…羊蹄トンネルにまた新たな岩 再開したばかりの工事がストップ 北海道新幹線・札幌延伸工事
HTB北海道ニュース / 2024年11月22日 12時47分
-
北海道新幹線“羊蹄トンネル”で新たな岩盤見つかる 掘削工事が再停止…札幌延伸にむけた完成時期の見通し不透明に
北海道放送 / 2024年11月22日 12時26分
-
7か月ぶりに掘削再開…原因は「大きな岩」 中断「羊蹄トンネル」工事動き出す…北海道新幹線札幌延伸
STVニュース北海道 / 2024年11月19日 12時23分
-
貨物列車脱線事故 JR北海道「レールの腐食が原因の一つになった可能性」専門家の分析は? 函館~札幌間の利用客は大混乱
北海道放送 / 2024年11月18日 22時26分
ランキング
-
1相鉄かしわ台駅、地元民は知っている「2つの顔」 東口はホームから300m以上ある通路の先に駅舎
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 6時30分
-
2「築浅のマイホームの床が突然抜け落ちた」間違った断熱で壁内と床下をボロボロに腐らせた驚きの正体
プレジデントオンライン / 2024年11月22日 17時15分
-
3三菱UFJ銀行の貸金庫から十数億円抜き取り、管理職だった行員を懲戒解雇…60人分の資産から
読売新聞 / 2024年11月22日 17時55分
-
4ジャパネット2代目に聞く「地方企業の生きる道」 通販に次ぐ柱としてスポーツ・地域創生に注力
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 8時0分
-
5会社員が考える“テレワークのデメリット” 「会話不足」「公私の切り替えが曖昧」を超えた1位は?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月22日 7時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください