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人間の脳は「150人以上の人」と仲良くなれない 現代社会における「進化のミスマッチ」の問題

東洋経済オンライン / 2024年11月5日 12時0分

最近の学会で、ハーバード大学の人類学者ダニエル・リーバーマン教授から、とても面白い発表がありました。糖尿病やメタボに対する運動療法によって、きちんと治った人は1人もいないというものです。

「1日1万歩」と言われますが、狩猟採集の時代は、歩くほかにオプションがないので、本当に1日中1万歩以上歩かなければ、30種類以上のものを食べることができなかったわけです。

ところが、そんなことはイヤなので、そうしなくていい方法を一生懸命に考えた。それで身体の具合が悪くなった。

じゃあ「運動しなさい」と言われたところで、我々人間には、「運動する」という本性はありません。そもそも「ほんの少しでもエネルギーはセーブした方がいい」というものにできているからです。だから、運動療法で生活習慣病が治るわけがないということです。

エスカレーターやエレベーターを見たら避けて、階段を見たら喜べなんて言われても無理ですよね。私だって、歩道橋の横にエレベーターがあれば乗りますよ。

同じように、大きな集団になって、よく知りもしない人と一緒に何かをするというのも、人間の本来の本性のなかにはありません。

人が親密さを感じたり、楽しく一緒に働いたりできる人数には制限がある、これは全人類に共通することです。

国民国家が何千万人になろうと、人は、「ダンバー数」に基づくような形で組織を作っている。そして、そうなっていない組織では、ガタガタとまずいことが起きている。それを指摘しているのが本書なのです。

(構成:泉美木蘭)

長谷川 眞理子:総合研究大学院大学名誉教授、日本芸術文化振興会理事長

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