中小企業が「太陽光発電」を導入するメリット3つ "脱炭素経営への無関心"は資金調達にも不利に
東洋経済オンライン / 2024年11月5日 15時0分
いま、最も強く企業に脱炭素化を求めているのは金融機関です。それは、脱炭素経営に取り組まない企業は、製品が売れなくなるなど「成長が望めず衰退する」と彼らが考えているからです。実際、融資の条件に脱炭素経営を加える金融機関が増えてきています。
つまり、脱炭素経営に取り組まない企業は融資で不利になる、あるいは融資が受けられなくなるリスクさえあるのです。
また、サプライチェーンからは、部品や製品を脱炭素でつくって欲しいとの要求がどんどん強まっています。ここにきて、"脱炭素経営への無関心"が招くデメリットが増大しているのです。
一石三鳥の自家消費型太陽光発電
一石三鳥などと書くと、「そんな都合のよいことがあるものか」と思う人もいるでしょう。しかし、そんな都合のよいことが「ある」のです。
自家消費型太陽光発電とは、文字どおり自社で太陽光パネルを使って電気をつくり、その電力を自らが使用するものです。
昨今の資源価格の高騰もあって、自家消費型太陽光発電を導入すれば、ほぼ確実に電気料金は下がります。もちろん、その電気を利用することは脱炭素に直結します。また、災害などによる停電時も、電気を使うことができます。
太陽光発電なので電気が使えるのは昼間だけですが、蓄電池を導入することで利用時間帯を広げることもできます。本稿では、基本的にコストメリットの高い、自社の敷地内に発電設備を設置するケースを中心に取り上げます。
敷地内に太陽光パネルを設置する電力の調達手法には、①設備を自社で所有する購入方式、②リース方式、③オンサイトPPA方式の3つがあります。このうち、特に中小企業に向いているのが、①購入方式と、③オンサイトPPA方式です。
(1)購入方式
自社が所有する敷地内の建物屋根等に発電施設を設置し、発電した電力を自家消費する手法です。前述した脱炭素効果や緊急時対応に加えて、
・(後述するPPAと違い)他社に支払うサービス料金が発生せず、収益性が高い
・通常の電気料金に含まれている「再生可能エネルギー発電促進賦課金」などがかからず、コスト減となる
というメリットが挙げられます。一方のデメリットは、やはり、
・初期費用が必要
・維持管理の費用と手間がかかる
ことなどです。自社所有ですから、つくった電気はタダで使えます。初期投資を含めた発電コストについては、後述します。
(2)オンサイトPPA方式
需要家(企業)は、太陽光パネルなどを設置する場所を提供し、そこに第三者が設備を設置して、発電した電力を長期間にわたり使用する契約を結ぶ手法をコーポレートPPA(Power Purchase Agreement=電力購入契約)といいます(図表2)。欧米では主流となっている手法で、日本でも急速に拡大しています(以下、この手法を「PPA」とします)。
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