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「重くて、遅い」パナソニックはAIで変貌できるか 18万人規模で導入し現場主導の企業文化を目指す

東洋経済オンライン / 2024年11月5日 7時50分

パナソニックグループは積極的にさまざまなAIを活用している。それが「重くて、遅い」企業から「軽くて、速い」企業に転換するためのツールになると、楠見グループCEOは信じている(筆者撮影)

「重くて、遅い」企業体質の改善

「AIは、重くて、遅いパナソニックグループを、軽くて、速い会社に変えることができる」──パナソニックホールディングスの楠見雄規グループCEOは、AIを企業変革のツールに捉えている。

パナソニックグループは、長い間、「重くて、遅い」という言葉が、悪しき代名詞に使われ、その体質は、楠見グループCEOが指摘するように、今でも残る。

中期計画の未達やPBR1倍割れといった成長戦略の遅れは、重くて、遅い企業体質の改善が進んでいないことに起因しているのは明らかといえよう。

楠見グループCEOは、「30年間成長しなかったパナソニックグループは、その間、厳しい業績から脱却するために、上司は次々と指示を出し、現場の社員はそれを実行することに力を注いだ。それが仕事だと思っていた。自分で知恵を出し、創意工夫する仕事をしてこなかった社員が、いまは部長や事業部長になっている。上位下達の文化はいまでも残っている」と語る。指示を出すまで、現場が動かないことが「重くて、遅い」と言われる企業体質のベースにある。

楠見グループCEOは、オートモーティブ事業を担当した際、トヨタ自動車の企業文化に触れて驚いたという。

「トップダウンの会社だと思っている人が多いかもしれないが、中に入ると現場主導の組織風土が根づいている。その最たる例が、トヨタ生産方式。現場主導でのカイゼン活動が日々行われている。これが生産現場だけでなく、トヨタ全体に浸透している」と指摘。「個人的な意見だが、現場主導によるカイゼンが、全社業績の利益を積み増す要因になっていると感じる」と続ける。

それに対してパナソニックグループには、現場から動かす風土や、失敗を恐れずに挑戦し、多少つまずいても、また起き上がる文化が醸成されていないと、自らを厳しく評価する。

経営トップに就任して以降、楠見グループCEOは、創業者である松下幸之助氏の言葉を引用しながら、社内意識の改革を図ってきた。

「1人ひとりが経営者という意識が浸透していない」

これも、パナソニックグループが、経営の根幹の1つにと位置づける「自主責任経営」という創業者の言葉をもとにしたメッセージだ。

松下幸之助氏は、「自主責任経営」において、社員1人ひとりの仕事への向き合い方を「社員稼業」という言葉で表現。1人ひとりが、1つの独立経営体の主人公であり、経営者であるという姿勢で仕事に取り組み、モノを見て、判断することを求めた。

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