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御社の「採用サイト」が見向きもされない理由 企業は「情報」を発信するだけでは届かない

東洋経済オンライン / 2024年11月5日 16時0分

もうひとつは生活がより高度化したからです。

現代の日本人の多くは、衣食住に困らない生活を送っています。すると人は次に何を求め、何にお金を使うようになるのか?独立研究者の山口周さんは『ビジネスの未来』(プレジデント社)の中で「人類が長らく夢に見続けた『物質的不足の解消』という宿題をほぼ実現しつつある」とした上で、こう述べています。

「便利さ」よりは「豊かさ」が、「機能」よりは「情緒」が、「効率」よりは「ロマン」が、より価値のあるものとして求められることになるでしょう。そして、一人一人が個性を発揮し、それぞれの領域で「役に立つ」ことよりも「意味がある」ことを追求することで、社会の多様化がすすみ、固有の「意味」に共感する顧客とのあいだで、貨幣交換だけでつながっていた経済的関係とは異なる強い心理的つながりを形成することになるでしょう。

「コンテンツ化」した世界

豊かさ、情緒、ロマン、そして「意味がある」ことが求められる世界。それは言い換えると「コンテンツ化」した世界とも言えるのではないでしょうか?

例えば、水を飲みたいと思ったとき、水道水や適当に買った水ではなく「南アルプスの天然水」や「ボルヴィック」などをわざわざ選んでいたとしたら、そこには自分なりの「意味」があるはずです。その意味の背景には、商品のイメージや企業のストーリーが存在するでしょう。何かしら心を動かすもの、僕の定義する「コンテンツ」が影響しているはずなのです。

衣食住を満たすだけなら、コンテンツは必要ありません。しかし、いいか悪いかは置いておいて、人間はより充実した生活を求める生きものです。人はより豊かで、情緒のある生活を求めます。そういう世界において「コンテンツ」はますます求められていきます。

意味やコンテンツが求められるようになるのは「働く」という分野でも同じです。「お金がもらえるから働く」「生活のために働く」というよりも「この仕事には意味があるのか?」「なぜ、この会社で働くのか?」と多くの人が考えるようになりました。企業であっても「心を動かすようなコンテンツ」を提示できないと選ばれなくなっているのです。

心が動かないものは、存在しないのと同じ 読まれなければ意味がない、届かなければ意味がない

発信を検討している企業から、たまにこんなことを言われます。「うちの会社はコンテンツを出したいわけではないんですよ。自社の魅力を伝えたいだけ。会社のことを知ってほしいだけなんです」と。その気持ちもよくわかります。

コンテンツは「きっかけ」

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