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なぜ「ダイソー釣り具」に私たちは魅了されるのか 「100均ビジネスの救世主」になりうる商品の顔ぶれ

東洋経済オンライン / 2024年11月5日 9時30分

「100均」の救世主となるのは?(写真:筆者撮影)

全く余計なお世話だと思うが、100均ビジネスの将来が心配だ。消費者の節約志向を味方につけ、1兆円市場にまで成長したデフレの申し子だが、今や円安・製造コスト・人件費のトリプル負担増が重くのしかかる。

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ダイソーやキャンドゥは早々に100円縛りに見切りをつけ、多価格帯にシフトしつつ対抗しているが、それでも100円商品がすべて消えるわけではない。価格を固定する限りどこかでコストを削るほかはなく、商品のサイズが小さくなったり、内容量が減ったり、最悪すっぱり商品自体が姿を消す――なんてことも起きている。

低価格を守るために絶えず企業努力を続けているとはいえ、100円ショップの道のりは厳しいに違いない。特に、100円にこだわり続けるセリアがどこまで我慢できるのか。そんな風に密かに心を痛めていたのだが、売り場を回っていてハッとした。100均が稼ぎ続けるためのヒントとなる商品を見つけたのだ。最初にそれに気づかされたのは、「100均釣り具」の売り場だ。

「ダイソー釣り具」をなぜ買ってしまうのか

コロナ禍中に、「釣り」のプチブームが起きた。換気不要のアウトドアで手軽に楽しめるレジャーとして支持され、どこの釣り場も大賑わいだった。早朝から釣り場に入り、ストイックに釣るというより、ライトに竿を出すファミリーの姿が目立ったものだ。

そんなエントリー層に大いにアピールしたのが「ダイソー釣り具」だ。いきなり釣り具専門店に行っても、品数が多すぎて何を選べばいいかさっぱりわからないし、道具を一通り揃えるには金がかかる。そこに行くと、専門店で買うのと遜色がない道具と仕掛け(釣り針など)が安価に買えるのだ。

初めは安かろう悪かろうの類ではと疑心暗鬼の反応だったが、釣りユーチューバーもこぞって「ダイソー釣り具」を試用し、性能に太鼓判を押したこともあり、気づくと多くの店舗で釣りコーナーが定着した。釣り竿やリールといった最小限の道具から、今ではバッカン(防水性のある四角いバッグで、道具やエサ入れに使う)やエアーポンプ(釣った魚を生かしておくために使う通称ブクブク)まで売っている。これらはさすがに1000円近くするが、釣り具専門店に比べたら格段に安い。(ちなみに釣りが趣味の筆者もよく買う)。

しかし、釣り具が100均を救うヒントになる理由は、安くて種類が豊富だからではない。釣りで必ず必要になるものといえば、「仕掛け」だ。ダイソーにも、小魚を釣るサビキ仕掛けや、浮き釣り用の仕掛けなど、いろいろな種類が売っている。一袋に仕掛けが2~3セット入っていて、それが100円で買える。ここか肝心だ。

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