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奥行き12m「カステラハウス」工夫満載の快適空間 スペースを開放して近所の人たちの憩いの場に

東洋経済オンライン / 2024年11月6日 14時0分

狭さを感じないどころか、一直線に伸びる広い空間にいるかのような感覚になる。これには驚いた。

考えてみれば、3LDKマンションのリビングの間口が6〜8メートルであるから、一直線の12メートルという空間がいかに広く感じられるか、想像いただけると思う。

鮮やかな緑でおしゃれ感が抜群

また、鉄でできていて頑丈なことと、ユニークな形状、そこに鮮やかなカラーが相まって、ローコストハウスには見えないのもポイントだ。

この点は木造のローコストハウスでは実現できない、大きなアドバンテージだ。こんなオブジェのような住まいなら、年を重ねても、「かわいらしいおしゃれなおばあちゃんが住む箱」として、ご近所では愛されていくことだろう。

住み始めてわかった小さな困りごともあるという。

1つは夏の西陽が玄関ドアを照らし続けていると、建物が鉄製だけに室内側ドア近辺もかなり暑くなってしまうこと。もう1つは、窓に庇(ひさし)がないので、直射日光が入りやすくまぶしかったり、小雨でも窓が開けられなかったりすること。

この2つは今後なんとかしたいとのこと。

カステラハウスが近所の人の憩いの場に

私が提案した解決策は、まずは玄関ドアに遮熱塗料を塗ることだ。できれば外壁や屋根面にも塗るのがいい。これで夏の室温が今より4度ほど下がるはずだ。

また、玄関ポーチの庇下(ひさしした)にタープや簾を引き、さらに庇の先端から地面に向かってルーバー状の日避けを設置すると、より効果的な熱対策となる。

窓の直射日光については、追加工事となるが、窓の外に長めの庇を取り付けて陽差しを遮るという提案をした。

余談であるが、同行した知人はお土産にと老舗の高級カステラを持参していた。それがKさんのコンテナハウスにそっくりだったので、「まるでカステラみたいですね」と冗談を言うと、いたく気に入られた様子で「カステラハウス」と命名された。

それから1年ほどが経ったつい先日のこと。

「この秋、ようやく図書館をオープンできることになりました」という便りをいただいた。

「カステラハウス」は今頃、近所の子どもたちと、そのお母さんたちがひと息つける憩いの場所になっているはずだ。

湯山 重行:建築家・一級建築士。アトリエシゲ一級建築士事務所代表

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