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ノンスタ石田が考える「面白い漫才」の"絶対条件" 笑い飯、ヨネダ2000に共通する「ベタ」のセンス

東洋経済オンライン / 2024年11月7日 18時0分

面白い漫才とはどういうものか?(写真:Fast&Slow/PIXTA)

漫才に対する分析が鋭すぎて、「石田教授」とも呼ばれているNON STYLEの石田明さん。「M-1グランプリ2023」で優勝した令和ロマンの髙比良くるまさんも石田さんから薫陶を受けたといいます。

そんな石田さんが「漫才論」をまとめた書籍『答え合わせ』から抜粋、「面白い漫才とはどういうものか?」という疑問に「答え」を出していきます。

結局「ベタが最強」「アホが才能」

僕ら漫才師は日々、「面白い漫才とはどういうものか」を考えています。

漫才も多様化が進んでいて、どんどん新しいものが出てきていますが、結局、僕は「ベタ」が最強だし、「アホ」であることが自分の才能やと思っています。

僕は中の中レベルの中学・高校を、定期テスト前に付け焼き刃で勉強することでなんとか進級して、卒業しました。大学には行かずに板前修業を始めたころに、友だちに誘われて芸人になりました。要はあまり学がない人間なんです。

だから、そもそも「賢いお笑い」は僕にはできません。だから、このアホさ加減を1つの才能やと思って、万人受けを狙っています。

ときにはニッチなお笑い──たとえば僕の大好きな『ジョジョの奇妙な冒険』の名ゼリフをボケに入れるとか、やってみたいと思うこともありますけど、「ジョジョ」好きの人にしかウケないとわかっているので、やりません。

そういうことをすると、僕らのネタを見てくれる人たちの中に「ジョジョ」好きの輪ができます。「NON STYLEって、『ジョジョ』のマニアックなネタをやるよね、あれ好きなんだよね」と。

でも、これは「私たち『ジョジョ』好きだけが知っていることをやってくれる」というマニア的な優越感でもあるでしょう。そんなふうにお客さんを選ぶようなことはしたくない。やっぱり僕らとして狙うべきは「ベタ」やと思うんです。

ベタっていうのは、見た人全員が共感できるもの。知識や文化レベルにほぼ関係なく、誰もが理解できる普遍的なものです。

ただ、ベタなことをベタな設定でやったらベタベタになって、「どこかで見たことがある」ようなネタになってしまいます。

勝負どころは「ベタなこと」を、いかに「斬新な器」に入れて新しく見せるか。今のお笑いシーンは、このフェーズに入っているように見えます。

たとえばヨネダ2000のネタは、めっちゃ斬新で奇抜に見えます。たしかに斬新で奇抜なところもあるんやけど、実は要所要所でちゃんとベタも入れている。僕から見て、さじ加減がほどよいコンビの1つです。

笑い飯はベタをベタじゃなく見せる天才

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