「子どもの近視」を抑制するのは意外と簡単だ 身体機能を取り戻すカギは「自然」にあり
東洋経済オンライン / 2024年11月7日 9時20分
春山:窪田先生の書籍を拝読してとても興味を持ったのが、台湾の小学校での近視抑制に成功した事例です。小学校で1日2時間の外遊び・屋外活動を確保することで、子どもの近視有病率が下がったということですね。
窪田:世界の科学分野で最も権威があるとされる全米科学アカデミーも、つい先日、近視の進行を防ぐには子どもの屋外活動を1日1~2時間確保する必要があると発表しました。
春山:そうなのですね。 また窪田先生の書籍で共感できたのが、まずは子どもに1日合計2時間程度外遊びをさせましょうと提言されているところです。太陽光という自然の力を借りて、目が本来持つ機能を維持させましょうという考え方は素晴らしいと感じました。
21世紀は予防医学の時代、近視も予防可能に
春山:身体にいいことをとなると、サプリや薬などの話になることが多いと思います。ですが、窪田先生は人間が本来持つ力を信じてケアすると述べられています。眼科医でこのようなお話をされる方を初めて知ったので驚きました。
窪田:もしかしたら私のような眼科医はマイノリティなのかもしれません。21世紀は予防医学の時代だと考えていて、病気にかからない生活習慣を持つことが何より大事なことだと思っています。
春山:とても共感できます。
窪田:個人が自分の健康を気遣うことが非常に大事な時代に入ってきたと感じています。もちろんどの年齢でも遅くはありませんが、子どもの頃にいい身体のベースを築いておくと、一生を通じて健全な肉体を維持しやすいですよね。
春山:眼科医である先生から見て、近視になることのリスク、また近視人口が増えることで発生する社会的リスクについて教えていただけますか。
窪田:医学面と経済面、それぞれにあります。まず医学面としては、近視になることで大人になってから緑内障や網膜剥離など、失明リスクのある眼疾患に罹る確率が跳ね上がります。
また、経済面としてはGDP(国内総生産)を損なう要因になると指摘されています。例えば日本より近視率が高い中国では、GDPの1~2%にあたる年間30兆~60兆円の経済損失が近視人口増加によって発生しているといわれています。
「近視は遺伝」と思われていた
春山:なるほど。先生は著作の中で「目は臓器である、脳の一部である」と書かれています。そこまで大事な臓器である目のケアが、日本でここまで関心が持たれていない現状には社会的な背景があるのでしょうか。
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