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資源物「持ち去り」抑止に対峙したある職員の奮闘 条例で取り締まるだけでは持ち去りは減らない

東洋経済オンライン / 2024年11月7日 8時10分

依田氏をはじめとする座間市のパトロール隊の方々の思いはしっかりと市民に届いていた。安心・安全な暮らしを市民に提供し、市内の治安維持に大きく貢献していたのだ。

現場で奮闘する職員が提供する安心・安全な生活

資源物の持ち去りを抑止するために、一部の地方自治体は条例を制定して対応している。筆者の居住する自治体でも資源物の所有権は自治体に帰属するとし、自治体や首長が指定する事業者以外は資源物を収集してはならないと定めている。

筆者は当初、条例等のルールを作れば、違反行為はある程度は抑止できると考えていた。しかし、目の前で資源物の抜き取りを見たり、依田氏からのお話をお伺いしたりし、現実は甘くないと痛感した。

悪意の違反者や反抗者と対峙していくには、その者たちと向かい合う確固とした覚悟や度胸が必要であり、時には住民のために危険を顧みずに対応していく気概が必要不可欠となる。

違反行為の撲滅には、条例制定といったルールの制定や施行は出発点にすぎないのであろう。ルールを実質化させていくには、組織的な重点的取り組みにおける現場スタッフの気概やチームワークが伴う必要がある。

現在、違反行為を見かけない地域では、依田氏のような気概を持った担当者の方々が現場で活躍しているのかもしれない。その結果、安心・安全な暮らしが住民に提供されているのではないか、と思いを馳せた。

藤井 誠一郎:立教大学コミュニティ福祉学部准教授

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