トランプ返り咲きで金や原油価格はどうなるのか 長期金利は一段と上昇する懸念が出てきた
東洋経済オンライン / 2024年11月7日 13時0分
11月5日に行われたアメリカ大統領選挙は、共和党のドナルド・トランプ前大統領が民主党のカマラ・ハリス副大統領に勝利することが確定的になった。
再選を果たせなかった大統領がその次の選挙で勝利するというのは、1880年代から1890年代にかけて、第22代と24代を務めた民主党のグロバー・クリーブランド大統領以来、2人目となる。
トランプ氏に完全に力負けしたハリス氏
筆者が住んでいるアメリカでも、投票前は主要メディアが大接戦を予想していた。だが、いざフタを開けてみればトランプ氏が「スイングステート」と呼ばれる接戦州のほとんどを制するという、圧勝だった。
ハリス氏にとっては、バイデン政権前半のインフレの急速な進行が有権者の怒りを買ったことや、その後も有効な経済政策を打ち出せなかったことが尾を引いた。さらに、自らも有権者へのアピールも足らなかったことなどが敗因とされているが、要するにトランプ氏に力負けをしたということだろう。
一方、議会選挙でも共和党が上院で過半数を奪還することが確定的となり、現在は下院でも過半数維持ができるかどうかが焦点となっているが、この途中経過を見る限り、結局4年間の民主党政権に対して、有権者がノーと言ったことは間違いないと思われる。
さて、トランプ氏の大統領への返り咲きは、今後のアメリカ経済や市場にとってどのような意味を持つだろうか。すでにS&P500種指数などアメリカの主要株価指数は軒並み史上最高値を更新、ビットコインなどの暗号資産もやはり史上最高値をつけているが、今回はコモディティ(商品)市場に焦点を絞って、今後の動向を考えてみたい。
「レッドスイープ」なら、長期金利は一段と上昇の懸念
コモディティ市場の方向性を考えるうえでは、やはり長期金利の動向から目をそらすことができない。その点においては、ハリス、トランプ氏のどちらが大統領選挙に勝利するのかよりも、政権と議会が異なった政党になるという、所謂ねじれ現象が起こらなかいことに大きな意味がありそうだ。
仮に下院も共和党が過半数を維持するなら、大統領と上下院議会とも共和党が制する「レッドスイープ」(トリプルレッド)が実現する。この場合、トランプ氏が自らの政策を強力に推進することが容易になってくる。大規模な減税政策を維持、あるいは拡大することによって、現在すでに危機的な状況に向かっていると警告されているアメリカの財政赤字がさらに拡大するリスクが高くなり、長期金利の一段の上昇をもたらす懸念が大きい。
この記事に関連するニュース
-
焦点:歴史的選挙戦戦ったハリス氏、なぜ敗北したのか
ロイター / 2024年11月7日 19時9分
-
投票日まであと1週間...米大統領選「5つの争点」を徹底解説 独自調査で見えた「最大の争点」は?
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月30日 14時22分
-
大激戦!米大統領選挙で世界分裂は直らない
トウシル / 2024年10月29日 7時30分
-
「トランプ大勝利なら関税大幅引き上げ」は本当か 2025年もアメリカの株価は堅調に推移しそうだ
東洋経済オンライン / 2024年10月27日 14時0分
-
トランプ?ハリス?米大統領選の勝者は誰か。日本株への影響は?(窪田真之)
トウシル / 2024年10月21日 8時0分
ランキング
-
1だからユニクロは「大企業病」にならなかった…柳井正が2011年元旦に流した全社員メール"過激な言葉"の背景
プレジデントオンライン / 2024年11月7日 7時15分
-
2シャトレーゼ、“カメムシ混入”について経緯報告・謝罪「不十分なコミュニケーション」「大いなる反省」
ORICON NEWS / 2024年11月7日 16時7分
-
3トランプ氏勝利で円安進行1ドル154円台に 財務省・三村財務官「行き過ぎた動きには適切な対応をとる」市場をけん制
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月7日 9時17分
-
4夫婦で家事分担、かえって忙しくなるナゾ 増え続ける「ステルス負担」の正体
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月7日 7時0分
-
5東京で一獲千金狙うも「酷評」店主の痛切な気づき 山形の超人気ラーメン店「新旬屋」はどう再生したか
東洋経済オンライン / 2024年11月7日 8時35分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください