トランプ返り咲きで金や原油価格はどうなるのか 長期金利は一段と上昇する懸念が出てきた
東洋経済オンライン / 2024年11月7日 13時0分
こうした長期金利の上昇は、コモディティ市場にとっては大きな売り材料である。それがドル高の進行を伴うときはなおさらだ。とりわけ金(GOLD)や銀などの市場にとっては、目先大きな売り材料となる可能性が高い。すでに「トランプ氏大統領選勝利」が確定的になった現地時間6日前後からは金や銀の価格が大きく調整している。
これまでは地政学上のリスクも含め、先行きの不透明感が安全資産としての金に対する需要を高めるという側面もあった。だが、レッドスイープならば、不透明感も急速に後退してくることになるだろう。金利の上昇やドル高の進行という大きな売り材料に加え、安全資産としての需要期待も弱まり、金市場が大きな調整局面を迎えることは避けられないのではないか。
一方、エネルギー市場への影響は、かなり長期的な視点に立って見る必要がありそうだ。
この分野では、トランプ氏が化石燃料などのエネルギー開発分野での規制緩和を進める意向を示すいっぽう、ハリス氏はクリーンエネルギーへの移行加速を後押しする姿勢を示していた。いずれにせよ政策の変更が実際の需給に影響を及ぼすようになるまでには、数年単位の長い年月を要することに変わりはない。
典型的なのは石油だ。トランプ政権が発足すれば、アメリカ国内の石油開発に関する規制が緩和され、同国の石油生産が増加する可能性は高そうだ。ただ実際に開発が承認され、生産が増加を始めるまでには7年から10年の期間が必要となりそうだ。
一方、アメリカ国内の天然ガス市場や液化天然ガス(LNG)の国際市場への影響は、比較的に短期に表れてくるかもしれない。トランプ氏は1期目にもLNG施設の新規建設に関しての規制緩和を進め、それを受けてLNG施設の建設が進んだことは記憶に新しい。
今回も同様にLNG施設の建設や規模拡張が進められるなら、アメリカのLNG輸出が一段と伸びてくることになる。これは、アメリカ国内の天然ガス市場にとっては強気、国際LNG市場にとっては弱気の影響をもたらすことになりそうだ。
さらに、エネルギー市場を考える際には、地政学リスクの高まりにも十分な注意が必要だ。トランプ氏がイスラエルへの支持を明確に示していること考えれば、今回の選挙結果を受けてイスラエルのネタニヤフ政権が、より強硬な方針を打ち出してくる可能性が高いと考える。
もちろんそれは、ハマスやヒズボラといったイスラム組織への攻撃強化であり、中東情勢が一段と緊迫するのは避けられないだろう。折しもイランは、最高指導者であるハメネイ師の意向もあって、イスラエルに新たな報復攻撃を行うことを警告している。
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