出遅れた日本EV「中国技術の活用」で巻き返しへ 電池に車台…「手法」が激変する新車開発の今
東洋経済オンライン / 2024年11月8日 10時30分
これまでの「bZシリーズ」と比べこの2モデルは、「ハンマーヘッド」のフロントデザインを採用し、スポーティな走りと個性的なスタイリングを備える。bZ3XとbZ3Cの2車は、2025年第1四半期に生産を開始する予定だ。
広汽トヨタで生産するbZ4Xは、中国車載電池で第3位の中創新航科技(CALB)製リン酸鉄リチウムイオン電池と、ニデック製の駆動システムを採用。一方、一汽トヨタで生産するbZ3Cは、BYD製リン酸鉄リチウムイオン電池「ブレードバッテリー」および駆動システム、天津アドヴィックス製ABSブレーキシステムなどを用いるという。
なお、2車ともに「TOYOTA PILOT」と名付けられたNOA (Navigation on Autopilot)をトヨタ車として初めて搭載する。自動運転レベルでは「レベル2」となるが、高度な機能を備えるシステムだ。
新車開発に中国勢のリソースを活用
近年中国では、デザインや乗り心地だけではなく、運転支援機能や乗車体験も車選びの重要な要素になっており、地場各社のBEVはNOAや自動音声を含む先進的な機能で、ガソリン車モデルとの差別化を図ろうとしている。
そうした中で、日系を含む外資系企業では、中国の合弁パートナーのBEVプラットフォームやリソースを活用して、新型車開発を加速させる事例が増えている。
先のMAZDA EZ-6は、マツダ「魂動」デザインと走行性能、長安汽車のEPAプラットフォームのコラボレーションで開発した新モデルであり、東風ホンダ霊悉Lは、現地採用のエンジニアが開発した合弁企業の独自ブランドだ。
日産も、合弁パートナーである東風汽車のリソースを活用し、GLOCAL(Global+Local)戦略で中国消費者の嗜好に合った電動車を開発する計画。豊富なハイブリッド車のラインナップを強みとし、他社とは一線を画してきたトヨタも、BYDの技術・部品を取り込みながら巻き返そうとしている。
ヨーロッパ勢も、昨年から自動運転・コネクテッドなどの分野で先行する、中国メーカーの技術を活用し、開発プロセスの短縮を図ろうとする動きが見られるようになってきた。
ドイツのフォルクスワーゲンは、新興BEVメーカーの小鵬汽車(シャオペン)に7億米ドルを出資し、そのプラットフォームと自動運転システムを活用した中型BEVを2026年に投入する予定だ。
また、上海汽車との合弁である上汽フォルクスワーゲンは、主力モデルの「ティグアンL(ロング)」に、DJI Automotive(民生用ドローン最大手DJI傘下)が開発した自動運転機能「IQ.Pilot」、テンセントのSNS機能、iFLYTEK(アイフライテック)の自動音声機能を採用し、ガソリン車で既存のファンをキープしようとしている。
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