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「本心」描く"故人を蘇らせるAI"は実現可能なのか 母親が蘇って、知らなかった側面が明らかに

東洋経済オンライン / 2024年11月8日 12時30分

――AI研究というのは、いわゆる技術的なことだけを研究しているようなイメージがありましたが、実際はそれだけでなく、倫理や哲学、法律など、人間の営みのことも考えながら技術を研究していかなきゃいけないということなのでしょうか。

まったくその通りですね。

AIも大規模な国際組織が必要

――研究者の方はそこをどう捉えているのでしょうか? これはしていいことですよ、いけないことですよ、といった倫理的なことの共通認識はあるのでしょうか?

ChatGPTが登場するまでは、技術と倫理の関係を専門に研究している人以外は、そういうことが必要になる日はなかなか来ないだろうと。しかしChatGPTが登場してからは、たとえば政治家の方や役所の方、そして一般の方たちが、これは考えなくてはならないことだと気付いたわけです。

2023年5月に行われた、G7広島サミットでの広島AIプロセスの提唱をはじめとして、アメリカ政府やイギリス政府、国連といった大きな国際団体が、倫理的な面もふくめて、どうやってルールを作るかということを話し合う委員会をつくり、議論をはじめています。

たとえば国連では、核技術の平和的利用の促進と原子力の軍事利用の防止を目的としたIAEA(国際原子力機関)という組織を運営していますが、AIに対しても、それぐらいの規模の国際組織をつくらないといけないのでは、ということになっています。

――そういう中でこの映画がつくられたというのも、タイミングのよさを感じさせます。

そう、まさに今観るべき映画なのです。ここに出てくる技術も、1年後は大丈夫かもしれないですが、おそらく2年後になったら古くなってしまうのではないでしょうか。

テクノロジーのほうが先に行く可能性は十分あります。映画ではゴーグルをつかっていますが、この技術も一過性だと思います。すでに複数の会社が脳にチップを直接埋めて情報を送受信する技術の開発に着手しています。

AIの利用制限求めたストライキも

――昨年もハリウッドで、AIの利用制限を求めて俳優のストライキがありました。AIを使えば、年をとった俳優を若くしたり、亡くなった俳優をふたたびスクリーンに映し出すことも可能となるわけですが、そうした現状はどう思われていますか?

まず人間の側に、良い思い出を残したい、亡くなった大切な人に会いたい、若がえりたいといったような欲求があるのではないでしょうか。これは技術の有無にかかわらず、かなり根源的な欲求だと思います。

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