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「本心」描く"故人を蘇らせるAI"は実現可能なのか 母親が蘇って、知らなかった側面が明らかに

東洋経済オンライン / 2024年11月8日 12時30分

それに対して新しい技術が登場してくると、当初人間社会はその技術をどう受け入れるか動揺する。たとえば最初にカメラが出てきたときも、最初は魂を抜かれると思っていたわけですし。しかしだんだんに折り合いをつけて、今は写真を撮るのは当たり前になっています。人間がやりたいことは止められないと思います。

――やはり欲望は止められないから、むしろどう制御するのかということでしょうか。

人間はひとりで生きている生き物ではなく、社会性のある生き物なので、どこかに線引きが必要になる。たとえば不特定多数がいる所で写真を撮って、勝手にネットにアップするのはどうか……という話もありますよね。そこはみんなで話し合って、ルールを決めていく必要があります。

――本作のメガホンをとった石井監督は、「"心"というのは不思議なもので、受け手がどう捉えるかどうかによって変わるもの。仮にずさんなテクノロジーだとしても、受け手によっては心を感じる」とおっしゃっていました。まさにこの映画のテーマでもあると思うのですが、将来、AIは人間の心をつくれると思いますか?

(石井監督も言うように)そうだと思います。それもまさにこの映画の中で十分に語られていると思いますが、結局それを「人の心」と思うかどうかというのは、そこに向き合ってる人の中にそれが芽生えるかどうかだと思います。

故人の心を見いだしたい欲求

これは仏壇だろうが、墓石だろうが、お盆という行事だろうが、目指していることは同じことではないでしょうか? たとえばお盆になると、亡くなったご先祖さまが帰ってくるといって、お供え物の準備をしたり、火をたいたりしますよね。

それはおぼろげながらも、そこに故人の心を見いだしてるわけです。もしくは見いだしたいという欲求があるわけですよね。

(池松壮亮演じる)本作主人公の朔也の場合は最新のテクノロジーの力を借りて、朔也の心の中にそれが起きたのではないでしょうか?

壬生 智裕:映画ライター

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