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伊藤忠が狙う「アニメ・IPで1000億円」構想の衝撃 ついに本気!「おぱんちゅうさぎ」アジア展開も

東洋経済オンライン / 2024年11月8日 10時0分

そんな中、海外の商流に強みを持つ伊藤忠がIPビジネスに注力し始めたことを知り、スカパー側から協業を打診。スカパーJSATが約8割、伊藤忠が約2割と出資比率ではマイノリティーだが、アニメ製作への関心も大きかった伊藤忠にとっては渡りに船となった。

エンタメ・IPビジネスで苦い過去

近年、アニメ・IPビジネスの活況は注目を集めており、ゲーム会社をはじめとしたエンタメ・メディア業界内での事業強化や参入の動きは頻発している。では、伊藤忠のような畑違いのプレーヤーでここまで入れ込むケースがあるかというと、一転して珍しい事例だろう。

実は伊藤忠、この領域でまったくの門外漢というわけでもない。1998年に「君の名は。」などで知られるアニメ会社、コミックス・ウェーブ・フィルムの前身となった企業を合弁で設立し、「仮面ライダー」や「サイボーグ009」で知られる石森プロのライツビジネスも担ってきた。

しかし、2000年代初頭に積極化した映画の製作委員会への出資については、映像を世界展開するというハードルの高さから、投資回収のリスクを鑑みて中断するなど、エンタメ・IPビジネスでスケールしきれなかった苦い過去を持つ。

それから時は流れ、2010年代後半には動画配信サービスの世界的な普及によって、エンタメ・IPビジネスに強力な追い風が吹き始めた。これを受けて、2020年4月にはVTuber企業のANYCOLORに出資するなど、伊藤忠でもIP事業が再加速する。

2021年、満を持して伊藤忠は現地企業などと合弁で、香港にアニメやキャラクターのライセンス代理店・Rights & Brands Asiaを設立(伊藤忠は38.5%出資)。中国市場における「ムーミン」の独占展開を開始し、小売りや飲食、観光業など100件程度の顧客を開拓した。

キャラクターコラボの定番である飲食店での限定メニュー開発から、ホテル客室内のアメニティなどをムーミンでジャックする企画、中国という地域性に沿わせたコラボ麻雀牌まで、その事例は多岐にわたる。現在はムーミンで数十億円規模の流通総額を誇り、2024年5月には上海支店を開設すると同時に、タイやシンガポールなど東南アジア10カ国での独占ライセンス権も加わった。

ムーミンに続く看板IPへ

「おぱんちゅうさぎ」は、そんなムーミンに続く看板IPであり、同様にRights & Brands Asiaが展開を担う。伊藤忠の情報・金融カンパニーでこの事業を担当する稲留光・フロンティアビジネス第三課課長代行は「おぱんちゅうさぎの商品化権獲得を発表してから、海外展開している日本企業や現地企業からの問い合わせが殺到している」と明かす。2026年には、「おぱんちゅうさぎ」の流通総額を500億円まで引き上げる計画だ。

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