セブンの「リベンジドーナツ」、実は副産物だった? 7年ぶりの挑戦の裏には意外なドラマがあった
東洋経済オンライン / 2024年11月9日 7時40分
コンビニ首位のセブン‐イレブンが急速に広げている「お店で揚げたドーナツ」。導入店舗ではパン生地で包んだカスタード、ドーナツ型のチョコ、メープルの3種類がレジ横のケースに並んでいる。
【写真で見る】ドーナツだけじゃない、セブンの“生地系”の商品はほかにも
7月に実施した埼玉県での実験販売を経て、取り扱いを拡大中だ。店舗数は10月に8000を超え、2025年2月までに全国約2万1000店の設置可能な店舗すべてに展開する方針だ。
実際に食べてみると、パンに近いふっくらとした食感だ。ミスタードーナツのようなしっとり・サクサクといった質感と異なり、ハワイで人気のスイーツ、マラサダに近い。購入時に渡されるスティックシュガーをまぶして食べる形式から、ネット上では「揚げパン?」との指摘もある。
カレーパンがすべての始まりだった
セブンのドーナツといえば、10年前の2014年に販売された「セブンカフェ ドーナツ」を記憶している人も多いだろう。セルフ式コーヒーが全国展開された翌年で、コーヒーとの合わせ買いが期待され、店頭でも大々的に売り込みをしていた。
工場で調理した製品を運ぶスタイルで、店舗スタッフの作業は袋から出して陳列するのみ。翌2015年には全店に広がった。しかし人気を定着させることができず、2017年には販売中止に至っている。
かつてのドーナツについて、同社商品本部のFF(ファストフード)・冷凍食品の責任者、米田昭彦シニアマーチャンダイザーは「売れてはいたが、差別化できていなかった。あのまま続けても商品の進化は見込めなかった」と振り返る。
今回の新生ドーナツは、販売終了から実に7年ぶりの再挑戦となる。興味深い点は旧製品のリニューアルではなく、ほかの新商品の「副産物」であったということだ。
きっかけは2015年。当時のセブン社内ではこんな議論が行われていた。「セブンプレミアムの『金の食パン』(2013年発売)があり、イースト発酵生地には強みがある。店頭にフライヤーもあり、揚げたてという付加価値も提供できる。アメリカンドッグ以外にも、生地系のファストフードが提供できるはずだ」。
その中で俎上に載せられたのが、今や定番商品になりつつある「お店で揚げたカレーパン」(2021年発売)。金の食パンを手がける武蔵野グループはカレーも製造しており、素材面で差別化できるとの狙いがあった。
しかし、ヒットへの道は平坦ではなかった。課題の一つは設備だ。揚げたてを提供するには、揚げる前の半製品を冷凍状態で店舗に運ぶ必要がある。委託先のパン工場には食材保管用の冷凍庫はあるものの、製造ライン上で急速に冷凍する設備がなく、数量や品質を保つことが難しかった。
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