「洋画は見ない…」日本の"洋画離れ"に起きた異変 不振だったディズニーは様々な施策が成果出す
東洋経済オンライン / 2024年11月9日 12時0分
ここ数年、洋画不況と言われて久しい。2010年代後半は年間興収の邦画と洋画の比率が5.5対4.5ほどだったが、コロナ禍を経た昨年、一昨年は7対3ほどまで差が開き、洋画が世の中的な話題になることがすっかり少なくなった。
【写真】ディズニーでは今年の冬には『モアナと伝説の海2』『ライオン・キング:ムファサ』といった話題作が控える
しかし、今年は少し違う。前半はアカデミー賞を総なめした『オッペンハイマー』が、内容と作品性で社会的な話題になり、夏からは景気のいいエポックメイキングなトピックがいくつか飛び交っている。2020年以降ほぼ無風だった洋画シーンだが、今年に入り復興へと向かう動きが出てきているのだ。
アフターコロナの深刻な洋画離れ
コロナ禍を経て、興行シーンは大きく変わった。動画配信サービスの普及で観客の映像コンテンツ視聴スタイルが変わり、映画ファン以外の一般層が映画館に足を向けることが極端に少なくなった。かつては50億円超えのヒット作が年間何本も生まれていたが、いまや10億〜20億円でヒットだと言われている。
一方、年間の興行収入は、一部のアニメ大作の大ヒットに支えられ、コロナ前と変わらぬ規模まで戻している。
興行市場はコロナ後に順調に回復しているように見えるが、実際は年間数本生まれる一般層を動かすイベント映画によってなんとか全体の数字を保っており、作品ごとのヒット規模は小さくなっているのだ。
とくに厳しいのが洋画だ。コロナ禍とその後のハリウッドのストライキの影響で作品供給が停滞した洋画は、劇場公開よりも自社プラットフォームでの配信を優先するアメリカのメジャー映画会社と日本の興行界との軋轢も重なり、シネコンの番組編成からすっかり消えた時期があった。そんな状況が、観客の“洋画離れ”を加速させたのだ。
洋画不況に直結したディズニーの不振
洋画を代表するディズニーの状況はどうだろうか。邦画と洋画のシェアがほぼ半々だった2010年代後半、ディズニーは100億円超えの大ヒットを毎年のように生み出し、50億円超えヒットは当たり前の洋画興行を牽引する存在だった。
歴代最高の年間興収を記録した2019年(2611.8億円)は、ディズニーは100億円超え3本(『アナと雪の女王2』『アラジン』『トイ・ストーリー4』)、50億円超え2本(『ライオン・キング』『アベンジャーズ/エンドゲーム』)と邦画を上回るヒット規模の作品を連発し、興行全体を大きく底上げしていた。
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