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「洋画は見ない…」日本の"洋画離れ"に起きた異変 不振だったディズニーは様々な施策が成果出す

東洋経済オンライン / 2024年11月9日 12時0分

とくに映画のようなエンターテインメントにおいて、特別な体験は作品への感情移入につながり、次の行動への大きなモチベーションになる。もちろんSNSなどによるマーケティング戦略は重要だ。それと体験型の施策を両輪とするのは、宣伝の原点回帰でもあるだろう。それが実際に成果につながった。

洋画が体験消費として再認された

こうしたディズニーの取り組みは、昨年の『リトル・マーメイド』(34億円)や『マイ・エレメント』(27億円)から積極的に行われていた。なかでも、特徴的な事例は『リトル・マーメイド』。地方の高校の吹奏楽部の演奏付き試写会などで、地元とのエンゲージメントを強めていた。

佐藤氏は「ディズニー作品は昨年から復調しはじめていました。作品ごとの興収はどんどん積み上がってきて、今年もその波が続いています」と言葉に力を込める。

洋画の雄が、時代の過渡期を乗り越えて、昨年から再び映画館に観客の足を向けさせている。今年はようやく興収というひとつの象徴的な形になって見えてきた。

それを現場の興行主も実感している。シネコンのイオンシネマを運営するイオンエンターテイメント映像本部コンテンツ編成部・部長の玉置修氏は、『インサイド・ヘッド2』の興行を「今夏のファミリー層のファーストチョイス映画であり、女児中心の予想から、男児にも同等にご来場いただきました。さらに夏休み終了後は、シニアを含む大人だけのご鑑賞も増えました。作品が高く評価されたとも感じています」とその好調ぶりを振り返る。

そして、この洋画復調の流れは一過性ではなく、この先も継続していくことを予測する。

「クオリティの高い洋画が、“コト”や“エモ”の消費・体験として再び認められた現象であり、多くの若い消費者に『洋画も面白い』という印象を与えました。これは一過性のブームではないと思います。本作が“映画館デビュー”であったお子様が多くいらっしゃったことも、この先の洋画復調に与えた功績は大きいのではないでしょうか」(玉置氏)

洋画興行全体は明るい話題ばかりではない

ただ、そうした明るい兆しがある一方、今年の邦洋の比率はこの夏までで8対2ほど。洋画興行全体としての市場規模は、アフターコロナのどん底からほとんど変わっていない。

著書『アメリカ映画に明日はあるか』で20年間の洋画興行を考察する映画ジャーナリストの大高宏雄氏は「洋画にとって、ディズニーの復調は心強いですが、まだまだの感じはあります」と“ディズニー復調”という言葉に対する物足りなさを指摘する。

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