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「選挙圧勝」でも次期トランプ政権は簡単じゃない なんと共和党は「労働者の政党」になっていた?

東洋経済オンライン / 2024年11月9日 8時30分

これだけの巨額マネーがうごめくのがアメリカ大統領選である。いやもう、わが国の「政治と金」問題が可愛らしく思えてくる。透明性があるのは結構なことだが、いかんせん途方もない金額が4年ごとに選挙というビジネスに投じられている。

ハリス陣営としては、バイデン大統領から引き継いだ資金に加えて、自前で集めたお金も含めて、ライバル陣営の倍以上の選挙資金を使って負けた、という事実は重い。いったい敗因はどこにあったのか。そして民主党は2028年に誰を候補者として、どんな戦略で戦うべきなのか。そういう議論はすでに始まっているはずだ。

そこで手がかりとなるのが出口調査である。いつもの習性でCNNの出口調査を見ていた筆者は、このデータを見てあっと息をのんだ。

このCNNの出口調査の「Income」(所得)の「2つの表」をご覧いただきたい。年間世帯所得が5万ドル以下の人たちの間では、トランプさん支持が50%、ハリスさん支持が47%で、トランプさん側のほうが3ポイントも高いのだ。

これは「共和党はお金持ちの政党で、民主党は労働者の政党」という先入観に相反するデータである。逆に、10万ドル以上の人たちの間では、ハリスさん支持のほうが「51%対46%」で5ポイントも高くなっている。「お金持ちは民主党」になっているのではないか。

それにしても1ドル=150円で計算すると、年収750万円以下が「貧困層」にされてしまう昨今のアメリカ経済はちょっと恐ろしい。そこでCNNの過去のデータを振り返ってみると、以下のとおりとなる。

当たり前の話だが、ほんの10年くらい前には年収5万ドル以下の層は、全体の4割くらいを占めていた。そして民主党支持者が多かった。逆に10万ドル以上の層はせいぜい3割で、共和党支持者のほうが多かった。それが「普通」の感覚であろう。

共和党は「労働者の党」へ、民主党は「意識高い系」に

ところが2024年選挙ではこれが逆転している。「トランプ氏の下で、共和党は労働者の党に変貌しつつある」というのは、どうやら本当らしいのだ。逆に民主党は、気候変動問題やジェンダー、人種問題などを重視する「意識高い系」の支持者の政党になっていた。

しかるにそれでは、焦点となっていたラストベルトの白人ブルーカラー層の票を取れないのは当たり前だろう。彼らの関心事は、インフレや不法移民といった生活に密着した問題であり、「トランプの再来は民主主義の危機だ」と言われても話がかみ合わないのである。

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