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なぜ年を取ると「しょうゆをドバドバ」かけるのか 高血圧になると腎臓にも負担がかかってしまう

東洋経済オンライン / 2024年11月10日 16時0分

年齢を重ねるにつれ、徐々に味覚は衰えていくという(写真:kai/PIXTA)

年を取るにつれて、なぜかしょっぱいものが好きになってきたと感じている人はいませんか? 塩分のとり過ぎは高血圧の原因としてよく知られていますが、医学博士で腎臓専門医の髙取優二氏によれば、高血圧になると、腎臓にかかる負担も高まってしまうそうです。

世界的に腎臓病の急増が続く深刻な背景と、加齢による味覚の変化について、髙取氏の著書『腎機能を自力で強くする 弱った腎臓のメンテナンス法』から、一部を抜粋・編集して紹介します。

世界中で患者が急増する「隠れた流行病」

ひと昔前までは、「腎臓って、どこ?」と、場所さえ知らない人も少なくありませんでした。テレビ番組などで華々しく取り上げられていた脳や腸に比べたら、腎臓はひっそりと目立たない存在でしたよね。

【グラフで一目瞭然】50年前と比べて約1600倍に増えた慢性透析患者

それが様変わりして、いまでは腎臓は注目の的です。

その理由は、残念ながら「すごい働きをしているから」ではありません。慢性腎臓病の患者さんが日本で増えているからです。

近年では、「これは一大事だ」と厚生労働省も啓発活動を幅広く行っているので、「日本人の約8人に1人が慢性腎臓病」ということは、多くの人に知られるようになりました。

腎臓病の患者さんが増えているのは、日本だけの話ではありません。これは推計値ですが、患者数は世界で8億5000万人にのぼると国際腎臓学会が2018年に発表しています。その数は、なんと糖尿病の2倍、がんの20倍以上に相当しています。糖尿病やがんよりも腎臓病にかかっている人のほうが多いなんて、ちょっと意外ですよね。

海外のメディアは「腎臓病は"隠れた流行病"」と報じていました。もちろん、腎臓病はほかの人に感染しないのですが、患者数が爆発的に増える様子は感染症と似ているといえるのかもしれません。

また、腎臓はダメージを受けても「痛い」「気持ちが悪い」などの身体的な症状がほとんど表れることがない、じつに我慢強い「沈黙の臓器」です。ですから、機能が低下しても気がつかないようなケースは決して珍しくありません。そのため、「サイレントディジーズ(静かなる病気)」と表現されることもあります。

さらに、慢性腎臓病の患者さんについては、心疾患や脳血管疾患で亡くなる場合が非常に多いのです。言いかえると、死因は心疾患や脳血管疾患になっていても、本当の原因は慢性腎臓病の悪化だった可能性があるということです。

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