「新幹線国際会議」台湾で開催、何を議論したのか 高速鉄道に関心持つ世界の要人がずらり参加
東洋経済オンライン / 2024年11月11日 6時30分
「台湾で高速鉄道の国際会議が開催されるということは、台湾の高速鉄道の実績が世界に認識されたからだと思うが……」
【この記事の写真を見る】新幹線システムを採用した台湾高鉄の車両。カリフォルニア高速鉄道の高架橋建設の様子など
現地メディアの記者が台湾の高速鉄道を運営する台湾高速鉄路(高鉄)の江耀宗董事長(会長)にこんな言葉を投げかけた。
10月31日、国際高速鉄道協会(IHRA)の年次会議が台北市内で開かれた。開催に先立ち、前日の30日にIHRAの宿利正史理事長と高鉄の江会長が記者会見を行った。冒頭の発言はこの場で発せられた。
「独自性」PRする台湾
IHRAは東海道新幹線50周年のタイミングで2014年に設立された一般社団法人。会員は新幹線を運営するJR各社、メーカー、総合商社、コンサルティング会社などで構成される。台湾の高速鉄道も多くの部分で新幹線システムを採用しており、高鉄も名を連ねる。
世界の高速鉄道は2種類に大別される。既存インフラの活用を重視して在来線や貨物列車と線路を共有する欧州型の高速鉄道。そして、高速鉄道専用の線路上を走る日本の新幹線である。
新幹線は専用線に加え、自動運転装置(ATC)を導入することで衝突の可能性を完全に排除することを基本思想とする。さらに車両、電力・信号・通信設備、軌道、土木構造物、防災・防護設備などの有形のハードと、オペレーション&メンテナンス、組織体制、人材育成・開発といった無形のソフトを最適に統合したものを新幹線システムと捉え、「高速鉄道に関心を持つ世界各国の国々に新幹線システムの情報を正確に提供することがIHRAの目的である」と宿利理事長が説明する。
年1回、IHRAの年次会議が開催される。これまで東京や大阪など日本国内で開催されることが多かった。台湾での開催は2016年に続く2回目である。
高鉄は2007年の開業後、利用者数が計画を大きく下回り経営は悪化の一途をたどっていた。2015年に政府の出資増などのリストラ策を講じ、ようやく息を吹き返した。その意味で2016年は胸を張って実績を語れる状況ではなかった。
その後、利用者数は着実に増加し、現在の1日平均輸送人員は21万人。コロナ前で60万人台の東海道・山陽新幹線には及ばないが、同24万人の東北新幹線に匹敵するレベル。北海道・上越・北陸・九州新幹線の各新幹線の輸送人員も凌駕する。今回の会議で記者から「実績が世界に認識された」という発言が出るのも当然だ。
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