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1日20万本の「うなぎパイ」が作られる圧巻の光景 生地は手作り!師範制度で技術を継承していく

東洋経済オンライン / 2024年11月12日 9時20分

2階では包装ライン全体を見渡すことができる。

ここでも、よくよく眺めていると、いろんな発見がある。例えばコンベアの一部が緑色になっていることに気がつくだろうか。これは包装後の検品を行いやすくするため。緑色にすることで異物を見つけやすく、長時間の検品でも目に対する負担が軽減される。

そのほか、うなぎパイがコンベア間を移動する際には、くるっと半回転させている。うなぎパイに衝撃を与えないようにする一工夫だ。本棚に本を入れるかのように、うなぎパイが1本ずつ仕切りに入っていく様子も、スマートで爽快感がある。

うなぎパイファクトリーでは製造ラインに番号が振ってあり、順を追って見ていくと、細かな機械の面白さにも気がつきやすい。

一般的に工場見学は、地域貢献や会社の広報的な意味合いが強く、利益を稼ぐのが難しい。一方でうなぎパイファクトリーでは、工場見学のほか、カフェや売店なども併設。これらを通して、年間5億~6億円の売り上げを稼ぎ、黒字化できているという。

観光バス会社への営業もかけず、商品のネームバリューや、地域の人々の口コミで、想定以上の来場者数に恵まれた。いまでは産業観光施設としても注目を浴びるようになっている。

うなぎパイファクトリーで見ることができるのは、生産工程の一部。今回の取材では、うなぎパイ生産の意外な話も教えてもらった。

それは冒頭でも述べたように、うなぎパイの生地が職人による手作りである、という点だ。生地作りは、見学通路の壁の裏側で行われている。その様子は非公開。うなぎパイ職人の手で、その日の気温や湿度によって、生地の伸ばし方や焼成温度を調節しながら生地が作られている。

50人ものうなぎパイ職人がいる

実は、春華堂には50人ものうなぎパイ職人がいる。うなぎパイの生産技術を次の世代に着実に継承していくために、専務の間宮純也さんが中心となって、2014年から師範制度を導入。ガイドラインの作成や階級区分、人材の育成方法など検討を重ねて、現在の師範制度を確立させた。

「黙々と生地を作る職人たちの姿を初めて見たとき、この人たちの存在をもっと世の中に知ってほしいと思いました。もちろん、手作りは手間ひまかかるけれども、この職人技術は、残していくべきだと感じました」(間宮さん)

師範はたった1人。初代師範が高齢のため、今年の春には2代目に初めて交代することになった。2代目に就任したのが、清瀧貴之さんだ。ちなみに清瀧さんの父も同じくうなぎパイ職人で、父の後を追うように清瀧さんもうなぎパイ職人になった。

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