「親の愛情不足」の中で育った子に見えがちな特徴【再配信】 安全基地になれない親は「精神的に未熟」
東洋経済オンライン / 2024年11月12日 8時0分
そのときは、「ああ、自分は健全な親子関係というものとは無縁な人間なんだな」と感じるしかなかったそうだ。親も人間なのだから未熟な部分があるのは当然だが、こうしたことで悩み続けている人は確実に存在するようだ。
なお本書ではそんな、気持ちに共感したり感情をコントロールしたりすることに困難があり、安全基地になることができない親のことを「精神的に未熟な親(Emotionally Immature Parents)」と表現している。感覚的には納得できるが、はたしてそれはどういう大人のことを指すのだろう?
「成熟した大人」とはどういう人か
精神的な未熟さについて考えるにあたって、著者はまず「精神的に成熟する」ということについての再確認を試みている。曖昧な話ではなく、長年しっかりと研究されてきたテーマを紹介しているのである。
いくつかを抜き出してみることにしよう。
◆「精神的に成熟している」とは、他者と深い精神的なつながりを保ちながら、客観的かつ概念的に考えることができることをいう。精神的に成熟した人は、自分の判断で動くことができる。深い愛着を持ち、その独自性と愛着の両方を生活に自然にとり入れている。自分の望みをまっすぐに追い求めるが、そのためにほかの人を利用することはない。自分が育ってきた家庭の人間関係を引きずることなく、自分なりの人生を築こうとする。(ボーエン、1978年)(60ページより)
◆相手の気持ちにしっかりと寄り添うことができ、衝動も抑えられ、精神的な知性もある。心がおだやかで、自分の気持ちに正直でいられるし、ほかの人ともうまくやっていける。(ゴールマン、1995年)(61ページより)
◆客観的であろうとし、自分をよくわかっていて、欠点も認めている。(シーバート、1996年)(61〜62ページより)
対して精神的に未熟な人には、行動、感情、精神面においてまったく異なった特徴が見られることが多い。ここではその特徴が挙げられているのだが、このうちどれか1つの特徴を示す人は、ほかの特徴もあわせ持っていることが多いそうだ。
1:融通がきかず、1つのことを思い詰める
進むべき道がはっきりしている場合は、精神的に未熟な人であってもきちんとした対応が可能。しかし対人関係や精神的な決断を要する問題になると、その未熟さがあからさまになるという。融通がきかなかったり、一時の感情に駆られたりしてしまうわけだ。そして、ひとたび「こうだ」と意見をまとめると、あとは心を閉ざしてしまうことになる。
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