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茶室をリノベし自分空間に、アラ還男性の理想郷 旅立つ前に夫が20歳下妻に贈った「終の棲家」

東洋経済オンライン / 2024年11月13日 8時20分

それだけにとどまらない。

すべてがSさんの世界観で埋め尽くされている。

部屋には見たこともない外国製の電動自転車がバラバラになっている。倒産した自転車メーカーの中古不動品を、ネットオークションで3台も入手し、ばらして組み立てているそうだ。

かと思えば、懐かしの2チャンネルアンプのオーディオセットが一角を占め、スピーカー前には一脚の肘かけイスが。これまた年代物のビートルズのオープンミュージックテープを聴きながら、雨のSさん宅訪問はあっという間に過ぎていった。

老後に僕がDIYをする理由

SさんになぜDIYするのか?と尋ねてみたら、こんな答えが返ってきた。

「老後はどうせ、みなさん暇があるでしょう?動画サイトやネットで大抵のことは調べて自分でできるから、今までできなかったことをやってみたいんだよ。マンションだったら大工工事はできないでしょう?暇を持て余したうえに、人にやってもらうことばかりが増えてもね(笑)」

自分にとって価値のあるものは何か?

Sさんにとっては古い道具をゆっくりと時間をかけてもとどおりにして、その時代を懐かしみ味わうことがまたとない喜びとなった。山の頂の家では、今日もここちよい音が聞こえているに違いない。

湯山 重行:建築家・一級建築士。アトリエシゲ一級建築士事務所代表

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