大切な人の喪失「悲しみと後悔」にどう向き合うか 悲しみとうまく「距離をとる」方法は人それぞれ
東洋経済オンライン / 2024年11月13日 15時0分
家族や友人など大切な人の死はつらく、悲しいもの。そんな別れの痛みや苦しみを癒やすのが「グリーフケア」と呼ばれるものです。グリーフとは日本語で「悲嘆」という意味。昨年、「グリーフを考える日」(11月23日)が記念日協会に登録されました。
本記事では、グリーフケアを専門に研究・教育を行っている関西学院大学「悲嘆と死別の研究センター」坂口幸弘センター長と赤田ちづる客員研究員の著書『もう会えない人を思う夜に 大切な人と死別したあなたに伝えたいグリーフケア28のこと』から一部を抜粋し、大切な人を亡くした喪失感や悲しみなどの感情にどう自分なりに向き合い、癒やしていけばよいのか。そのヒントを探ります。
後悔は大切に思っていた証
大切な人と死別したあと、考えれば考えるほど、後悔ばかりがつのり、自分を許せないと感じる人もいるでしょう。
【写真】「関西学院大学悲嘆と死別の研究センター」が福井県敦賀市に設置した「天国とつながるポスト」
「私が悪かった……」「あのときこうしておけばよかった……」とついつい自分を責めてしまい、ほかに何も考えられなくなってしまうかもしれません。
強い後悔や心残り、罪悪感は、大切な存在であった亡き人のことを想うがゆえの感情でもあり、否定しなくてもいいとも考えられます。
とはいえ、罪悪感を抱え続けることは苦しく、心身の不調につながることもあります。
どんなに後悔しても、過去にさかのぼって変えられないことを頭ではわかっていても、後悔せずにはいられないのでしょう。
「あのとき、もっと強く病院に行くように言えばよかった。引きずってでも連れて行けばよかった」と後悔され、自分を責め続けていたのは夫をがんで亡くした50代の女性でした。
「大丈夫だから……という主人の言葉に、それ以上強く検査をすすめることができなくて……。私が悪かったんです。一緒に生活していて、体調が悪そうなのはわかっていました。食事も残すし、あれほど好きだったお酒も飲まなくなっていました。もっと早く病院に連れて行ってあげられていたら……」
そう話されていました。
2020年からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大にともない、従来とは異なる形での別れを余儀なくされた人も多くいました。
60代の女性は、コロナ禍で、高齢者施設に入居している母親と面会できない日が続き、会えないままお別れの日を迎えました。当時、多くの高齢者施設は、感染防止のために、家族といえども面会を厳しく制限していたからです。
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