トランプは威信を懸けてウクライナを停戦させる 「威信」こそがアメリカファーストの根幹だ
東洋経済オンライン / 2024年11月13日 15時0分
アメリカ第1主義は、アメリカの威信第1主義でなければならないところに、重要な問題が隠されている。アメリカはIMF(国際通貨基金)体制、国連、WTO(世界貿易機関)を支える資本主義の基軸国であり、世界を支配し続けなければならないのだ。その限りにおいてアメリカ第1主義でなければならない。しかし、現実にはアメリカの威信は地に落ちている。
そう考えると、トランプの政策は、何においてもアメリカの威信を守ることである。
早速トランプは、ウクライナ停戦案を提示してきた。ウクライナ戦争を早期に解決できる手腕を示すこと、まさにこれこそアメリカの威信を守ることである。
戦後一極支配体制の中心国として君臨してきたアメリカは、世界の紛争を監視する警察官として、戦争や紛争を解決してきた。それが結果的に、アメリカを中心とする西欧社会の利益にもつながっていたのだ。
しかし、ベトナム戦争(1960年ごろ~1975年)という抜け出せない轍にはまったアメリカは、ベトナムとフランスの仲裁を買って出たはいいが、仲裁どころか戦争に巻き込まれ、敗北を喫する。
それ以降、アメリカはもはや仲裁国ではなくなり、自ら戦争当事国になり、世界の警察官ではなくなってしまったのである。
そうしたアメリカが一時的にも仲裁国としての威信を保てたのは、ソ連崩壊後の湾岸戦争(1990~1991年)とユーゴスラビア紛争(1991~2001年)の時期であった。しかし、21世紀になり、アフガニスタン、イラクなどにおいて、結果的に敗北を喫し、反西欧勢力を勢いづかせることになる。
まさにそのような中で起こったのが、2014年のウクライナ問題だった。
西欧拡大の野望によって生まれたウクライナ問題は、結局2022年にロシアの反攻を生み出し、ウクライナ戦争となる。
その後、アメリカは直接介入せず、武器を供与することで、ウクライナを代理戦争国としてロシアと戦わせてきた。しかし、武器や情報だけでは勝ち目はなく、気がつけば1000日の戦争の中で、もっとも重要なドンバス地域を占領され、戦争は負け戦である。
西欧諸国は、あたかも下がり続ける株がいつかは上がることを期待し株を買い続ける投資家のように、かすかな期待でウクライナを支持し続けた。NATOは威信の低下を恐れ、敗北を認めることなく、泥沼にはまっていったのである。
トランプの即時停戦案
定かではないが、伝え聞くところによると、トランプは即時停戦案として、イーロン・マスクを使った思い切った提案に出るようである。ロシアとの間にアメリカの関与しない1300キロメートルの緩衝地帯(非軍事的)を置き、その地域の管理についてはNATOのヨーロッパ諸国に委任する。
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