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離婚数減少でも「熟年離婚」が減らない3つの理由 「死後離婚」件数も高水準、妻たちの本音は?

東洋経済オンライン / 2024年11月14日 7時40分

熟年離婚や死後離婚の数が高止まりしている(写真:PIXTA)

孤独死や陰謀論が社会問題化している。その背後にあるのが、日本社会で深刻化する個人の孤立だ。『週刊東洋経済』11月16日号の第1特集は「超・孤独社会」だ。身元保証ビジネスや熟年離婚、反ワク団体など、孤独が生み出す諸問題について、実例を交えながら掘り下げていく。

同居期間が20年以上の夫婦の「熟年離婚」数が高止まりしている。2023年に離婚した18万3808組のうち、熟年離婚の数は3万9812組と、全体の2割を超えている。

データが示す「熟年離婚」の現実

この10年、離婚数が減少傾向だったのに対して、熟年離婚の数は減っていない。なぜか。

妻たちの本音

筆者は葬儀社のマーケティング部門に在籍していた約10年前、「お見送りエピソード」をまとめたことがある。遺族にヒアリングをすると、多くは悲しみながら言葉を紡いだが、夫に先立たれた老齢の妻たちは様相が違った。

「夫は家事も育児もしなかった。義父母の世話も私に丸投げ。これで、やっと苦労が終わる」

「姑や舅からの嫁いびりがひどかった。夫は親の言いなりで、私をかばってくれなかった」

「友達と食事に行きたいと言うと『俺の飯はどうするんだ』と一気に機嫌が悪くなった。同窓会にすら行けない。買い物も旅行も、やっと自由にできるようになる」

夫との生活を思い出すと怒りがこみ上げてくるようだった。彼女たちが新婚生活を送った1960〜1970年代は「男は仕事、女は家庭」が当然視された時代。家族のケアを一手に担い、夫やその親族から理不尽な目に遭わされても耐え忍ばざるをえなかった。そんな「昭和妻」たちの本音が、彼女たちの言葉からうかがえた。

熟年離婚が減らないのは、抑圧からの解放を求めながら、夫の死まで待っていられないと考える女性が少なくないからではないか。

「死後離婚」も高水準

夫の死後、「死後離婚」に踏み切る女性も増えている。法務省の戸籍統計によると、死後離婚の件数は2005年に年間1772件だったところ徐々に増加し、2017年に4895件とピークに。2023年も3929件と高水準だ。

永代供養墓を手がけるアンカレッジの2017年調査では、回答した既婚女性242人のうち「夫と同じ墓に入りたくない」と答えたのは60人、約25%に上った。「夫が嫌いだから」と答えたのは9人のみで、主な理由は「知らない先祖代々と一緒は嫌」「夫の家族が嫌い」などだった。

「嫁」の役割を担わされてきた妻たちのリベンジが起きている。

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