1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

生後12日で長期入院も「RSウイルス」の本当の怖さ 免疫力ない乳幼児はワクチン・予防薬で対応を

東洋経済オンライン / 2024年11月15日 10時0分

乳幼児には重症化のリスクがあるRSウイルス感染症とは(写真:YUMIK/PIXTA)

“たかが風邪”と、あまり注目されていないウイルス感染症のなかに、乳幼児には重症化リスクが高いものがあることをご存じだろうか。そのウイルスは「RSウイルス」。耳にしたことのある人もいるだろう。

【図で紹介】乳幼児は要注意「RSウイルス感染症」の潜伏期間と症状、感染力

実は、このRSウイルス感染症から乳幼児を守る2つの方法――「ワクチン」と「予防薬」が新たに日本で使えるようになった。どんなものなのか見ていこう。

生後12日でRSウイルスに感染

小児科医の峯眞人さん(医療法人自然堂峯小児科)は今年4月、生後12日でRSウイルスに感染し、重症化した新生児を診たという。病気は自身のきょうだいからうつったようだ。

最初にかかったのは、幼稚園に通うお兄ちゃん(3歳11カ月)で、発熱と咳症状が続いた。その3日後にお姉ちゃん(1歳9カ月)にも同じ症状が出た。

このとき、2人の受診に付き添った祖母の話から、家にもう1人子どもがいることがわかった。生後12日のAちゃんだ。ついこの間、産科を退院したばかりだった。

【図で紹介】乳幼児は要注意「RSウイルス感染症」の潜伏期間と症状、感染力

「年齢の大きいお子さんにとっては何でもないRSウイルスでも、新生児が感染すると重症化しやすい。だから、なるべくお兄ちゃんとお姉ちゃんに接触しないよう気を付け、何らかの症状があればすぐに受診してほしいと伝えたのですが……」(峯さん)

だが、峯さんが心配したように、AちゃんはすでにRSウイルスに感染していた。

それらしき症状が表れたのは、きょうだいが受診した2日後のこと。最初は鼻詰まりと軽度の咳。そこから症状が急激に悪化し、激しい咳が出て、母乳を吐くようになった。峯さんが受診したAちゃんの血液中の酸素濃度を調べると、呼吸困難のレベルまで低下していた。

Aちゃんはすぐに小児専門病院に救急搬送されたが、そのときには血液中の酸素が不足する低酸素血症に加えて、口から哺乳することもできない状態に陥っていた。

RSウイルス感染症にはインフルエンザのタミフルのような抗ウイルス薬はない。そのため、鼻に入れた管から酸素を送ったり、栄養を入れたりして対応するしかなかった。

「AちゃんはHCU(High Care Unit:高度治療室)で集中的に治療を受け、幸いにも回復しましたが、無気肺という肺に空気が入らない状態を合併し、退院できたのは1カ月後でした。そのうえ、退院後も自力で育児用ミルクを飲めなかったため、栄養を管から入れる状況が1カ月ほど続きました。ご家族の心労も手間も大変だったと思います」(峯さん)

RSウイルス感染症とはこんな病気

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください