1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

最低賃金引き上げが「日本人の給与増」に必要な訳 恩恵受けるのは最低賃金で働く人だけではない

東洋経済オンライン / 2024年11月18日 8時0分

(写真:genki/PIXTA)

自民党の石破茂首相は総裁選の際、2020年代中に最低賃金を1500円にするという公約を掲げた。同様の公約は他党も掲げており、最低賃金の引き上げは今の日本にとってホットトピックの1つだ。

1500円までに引き上げる必要がある

実際のところ、日本の最低賃金の着実な引き上げによって、実質(物価調整後)の最低賃金は1990年に比べて67%上昇している。これにより、何百万人もの労働者の生活も購買力も向上した。

同様に重要なのは、最低賃金の引き上げは、財界のロビイストたちが警告していたような雇用破壊にはならなかったことだ。それどころか、雇用主は人手不足にあえいでいる。

この功績は有益だが、それでもまだ十分ではない。現在の平均的な最低賃金(1054円)では、フルタイムで働いた場合でも年収は200万円を少し超える程度にとどまる。150万円以下であれば生活保護が受けられるレベルだ。

早い話が、日本は最低賃金を1500円まで引き上げる必要がある。だが、石破茂首相が約束したように、2020年代中にこれを実現できるかどうかは疑わしい。実現するには毎年7.3%引き上げなければならない。

それよりは、日本は2024年の恒常為替レートで1500円になるよう、インフレ調整後の賃金を3%ずつ引き上げるべきだろう。

さらに、すべての労働者の賃金を引き上げるには、最低賃金の引き上げだけでは不十分だ。フルタイム労働者全体の実質時給の中央値は、30年前の1993年と比べて上昇していない。2020年をベースとして比較すると、1993年の2153円に対し、2023年は2150円に過ぎない。

これは、企業が正社員を女性や非正規労働者に置き換え、時給を大幅に引き下げたことが原因だ。日本の法律は「同一労働同一賃金」を義務づけているが、どの省庁もこの法律を執行していない。東京都がすべての労働者の賃金を引き上げることを真剣に考えているのであれば、今がその時である。

岸田文雄元首相の言う通り、可処分所得を上げなければ日本は立ち直れない。所得不足は、今日の実質個人消費が10年前より2%低い主な理由である。しかし、最低賃金以外については、岸田氏は中途半端な美辞麗句を並べただけで、ほとんど何も進言したことはなかった。

最低賃金が上がることの意味

民主党が初めて最低賃金1000円を提唱したのは2009年のことである。そして2016年、安倍晋三元首相は2020年までに1000円の目標を達成するため、毎年3%の引き上げを提案した。2022年に最低賃金が961円に引き上げられたとき、2000万人がそれ以下の収入しか得られていなかった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください