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京都のお茶屋が受け継ぐ「究極のキャッシュレス」 「一見さんお断り」にも合理的な理由がある

東洋経済オンライン / 2024年11月18日 16時0分

畑さんが現場に出たときは、50代の2人の社員と耳の不自由な40代の先輩と工場には4人だったそうです。そのときの危機感が、「この先輩たちが元気な間に、機械化をすすめ、彼らが認める製品をつくれるようにしないと!」という考えでした。

このような現場では、技術を継承できる若い人たちを多く採用するのは難しいと考えたからです。あとから振り返れば、ここが松栄堂さんにとって、1つのターニングポイントだったことは間違いありません。ポイントは3つです。

1 投資の必要性への理解

1つめのポイントは、収益を上げるために投資(お金を使うこと)が必要だと理解していたことです。

2 正しいお金の使い方

2つめは、お金の使い方を誤らなかったこと。

この時代、職人技をオートメーション化するなんて、現実的ではなかったはずです。ごく平凡な頭で、「生産性アップのための投資は何か?」と考えたら、せいぜい香房をきれいにするとか、給与をアップして、職人の数を増やすとか、そんなことにお金を使おうと考えそうです。

でも、畑社長は、その時代、誰もやったことのない技術のオートメーション化というところにお金を使うと決めました。「果敢に挑戦する」という経営理念の体現でしょうか。時代という外部環境を分析し、自社の強みを分析した結果、お金の使い方を誤らなかったのでしょう。

3 あきらめなかったこと

最後に3つめ。実は、実際に工場が建設されるまでに10年かかりました。でも、その10年間、建設をまったくあきらめなかったことです。

松栄堂さんの企業理念は、「細く 長く 曲がることなく いつも くすくすくすぶって あまねく広く世の中へ」です。まるで、お香の煙のように。

畑社長の頭の中には、いつもこの理念があります。この理念を実践するには、自分は、会社は、何にお金を使わなければいけないのか? その「問い」こそが、300年続く松栄堂さんのお金を使う判断基準なのです。

京都のお茶屋が提供するのは「最高の空間」

続いては、京都ではおなじみの「お茶屋」さんの話ですが、まず最初に、「お茶屋」といっても、お抹茶やお煎茶を売っている店のことではありません!

京都で「お茶屋」といえば、アレ。サスペンス劇場に出てくる、舞妓さんや芸妓さんが華やかにいらっしゃるところです。

京都には、祇園甲部、祇園東、宮川町、先斗町、上七軒といった5つの花街があります。そのため祇園界隈では、普通に舞妓さん、芸妓さんと遭遇できます。

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