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京都のお茶屋が受け継ぐ「究極のキャッシュレス」 「一見さんお断り」にも合理的な理由がある

東洋経済オンライン / 2024年11月18日 16時0分

それもこれも、お客さまを喜ばせたいから。喜ばし、喜ばれ、さらに喜ばす関係性を時とともに積み重ねることで、ただのお客さまとお店の人なんて関係じゃなく、パートナーのような信頼関係が築けるのです。

お茶屋の経営者のことを親しみを込め「お母さん」と呼ぶ習慣も、そんな関係性を築く一助になっているように感じます。

すべて"掛け"払いは、究極のキャッシュレス

さて、話を戻します。「恐るべし 絶対、貸し倒れしない! お茶屋さんの仕組み」です。

実は、お茶屋さんへの支払いは、すべて"掛け"なんです。その場では、お金の話はいっさいなし、現金もクレジットカードも見ることはありません。いまよりずっと前から究極のキャッシュレスだったのです。支払いは、後日、請求書が来て、支払うというシステムです。

料理代もお花代(芸舞妓さんの派遣料)も「おとも」(タクシーのことを「おとも」と呼ぶ)の料金も、全部、全部、お茶屋さんが立て替えて支払って、一括請求する仕組みです。

これも、お客さまがもてなす大切なお客さまにお金の気を遣わせないっていう、思いやりから出たシステムなのでしょうね。なんだか粋ですね。

こんなふうに、自分を思ってくれるお母さんの料金を踏み倒すってできるでしょうか?

そもそも、そんな人だったら、なじみの客にも至らないでしょう。自分が大切だと思う人を誠心誠意もてなし、喜ばしてくれるお母さん。そんな姿勢に、お客さまも、お母さんを信頼しています。

だから、ちょっとした知人に気軽に「お茶屋さんを紹介して」といわれたところで、やすやすと大事なお母さんを紹介するわけにはいきません。「この人だったら、大丈夫! お母さんもきっと喜ぶはず」と思える人でないと、おいそれとお母さんには、紹介しないわけです。万が一があったら、この人の料金も俺が払うくらいの心意気を常連さんは持っています。

すごい仕組みだと思いませんか⁉ 信用し、信頼され、店とお客さまを超えた関係性。そんな商売ができたら幸せですね。

入口 純子:税理士、アンビシャスグループ代表

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