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京都のお茶屋が受け継ぐ「究極のキャッシュレス」 「一見さんお断り」にも合理的な理由がある

東洋経済オンライン / 2024年11月18日 16時0分

京都で育った私は、祇園で商売をされているお客さまや友人がいたり、中学時代には舞妓さん修行中の同級生がいたりしました。当社の法人設立パーティには、芸舞妓さんに来てもらいました。こんなふうに京都に住む私たちにとって、花街はけっこう身近な存在です。

この花街が、ビジネス的視点で見ると、めちゃくちゃすごい!!! ということに大人になって、この職業につくまで気づかなかったのです(ビジネス的視点以外でも本当はめちゃくちゃすごいところが満載です)。

その中でも、ここでは、「恐るべし 絶対、貸し倒れしない! お茶屋さんの仕組み」をお伝えします。

まず、最初に。お茶屋さんは、何をしているかというと、「場」の提供です。誤解しやすいのですが、お茶屋さんは料亭とは違い、料理を提供しません。また、芸舞妓さんを雇っているわけでもありません(芸舞妓さんが籍を置くのは、置屋と呼ぶところです)。

ざっくりいま風にいうと、料理や芸舞妓さんの派遣などは、すべて自前ではなく、外注で賄っているわけです。じゃあ、お茶屋さんは、何をしているかというと、お客さまの用途に合わせた最高の空間(お座敷)や時間を提供して、対価をいただいています。

「一見さん」を受け入れることができない理由

京都人が「いけず」とか「排他的」とか思われがちな理由の1つに、「一見さんお断り」というルールがあります。花街では、なじみのお客さまからの紹介でなかったら、利用できませんよ、というものです。

これは、別に偉そうぶったり、よそ者を排除するとか、そういう嫌味なことが目的ではありません。そうではなくて、「お客さま第一!」の表れなんです。

お茶屋のお母さん(経営者をそう呼びます)は、お客さまを本当に大切にしています。だから、お客さま本人はもちろん、「お客さまが連れて来られるお客さま」を喜ばせる場、時間にするために、全身全霊でプロデュースします。

また、なじみのお客さまからの紹介であれば、受け入れもします。だって、お客さまがお茶屋さんに連れてくる人、紹介する人って、お客さまが大切にされている方で、大切な人の大切な人を大切にすることが、お客さまを喜ばせることにつながるからです。

最高の時間と場にするためには、お客さまのことをよく知る必要があります。お客さまの好み、利用される背景、どんな関係性で、この時間がどんな時間になれば、喜ばれるのか……などなど。だからこそ、パッと入ってくる、情報のない、いわゆる「一見さん」を受け入れることはできないのです。おもてなしのクオリティを維持できないため。

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