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ハワイ「ABCストア」誕生の裏にある日系人の物語 日焼けのキティちゃんなどグッズが人気に

東洋経済オンライン / 2024年11月18日 9時0分

当時交際していたミニーさんと収容所内で結婚したシドニーさんは、1943年に収容所を出ると、ミズーリ州にある病院で薬剤師として勤務。終戦後ハワイに戻り、1949年、カイムキ地区でABCストアの前身となるドラッグストアをオープンさせた。

マイアミでハワイの観光ブームを予見

それからおよそ10年後の1960年代前半、転機が訪れる。チェーンストアの会議でアメリカのマイアミビーチを訪れたシドニーさん・ミニーさん夫妻は、多くの観光客がショッピングセンターではなく、ホテル近くの商店街で買い物を楽しんでいる姿を目の当たりにし、直感した。

「ハワイのワイキキも、いずれマイアミのような観光地になる」。2人はすぐに、ワイキキ周辺の物件取得に奔走した。1964年、コンビニエンスストアと土産品店が融合した1号店を開業した。店名は、電話帳の最初に掲載され、外国客でも覚えやすいシンプルな「ABCストア」と命名された。

事業の礎を築いたシドニーさんから1999年、2代目の経営者としてポールさんにバトンが引き継がれた。37歳だった。ポールさんは4人きょうだいの末っ子。父親と同様に、幼い頃から店で働く両親の手伝いをして育った。さまざまなバックグラウンドを持った従業員たちが生きるうえで大切なことを教えてくれる先生となり、教養豊かで経営感覚に優れた祖母からも商売に大切な、多くのことを教わった。

「祖母は礼儀作法を教え、欲張っちゃいけないと教えてくれた。お金はとても大切だけど、崇拝してはいけないと教えてくれた。それから、僕は彼女のために芝を刈ったり植物に水をやったりした。彼女が茶碗蒸しみたいな日本食を作ってくれた。それが僕のご褒美だった。これが本当に美味しいんだ」

ビジネスの経験を蓄える

高校卒業後、ポールさんはアメリカのミシガン大学でエンジニアリングを学んだ後、父親に説得され小売業の世界に入ることを決心する。アメリカ本土のスーパーマーケットチェーンに勤めた後、家業を引き継ぐため、ABCストアで店長やバイヤー、マネージャーなどさまざまな部署に勤務し、ビジネスの経験を蓄えていった。

時代やマーケットの変化に合わせ、新たな商品、新たな業態の開発に挑戦し続けながらも、ベースには祖父母や両親から受け継いだ、多様なルーツをもつ人々との「助け合い」と「ハワイへの貢献」を目的に据えた経営哲学があり、ポールさんの支えになったという。

後編は11月19日(火)に配信予定です

座安 あきの:Polestar Communications社長

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