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「いつかは地元へ」香川を愛する25歳の東京ぐらし 困難な未来でも家業を継ぐことに迷いはなく

東洋経済オンライン / 2024年11月18日 9時20分

祖父も父も東京の大学で学んだ後、地元に戻ったという経緯がある。「僕も大学から県外に行くことは、既定路線として意識していました」という海野さん。

関西学院大学を経て、明治大学大学院のグローバルビジネス研究科で経営学を学ぶために上京した。海野さんが明治大学を選んだのは、学問を身につける他にも個人的な理由があった。

「すでに亡くなっているのですが、祖父が明治大学出身だったんです。せっかく経営について学ぶなら祖父の母校で学びたいと。入学試験のときは祖父の遺影を胸ポケットに入れて、かばんにはお骨を入れて臨みました。無事合格でき、祖父も喜んでいると思います」

「四国の人口は30年後には30%減」でも…

大学院で修士課程を終えた後に、海野さんは現在働くマーケティング専門企業に就職した。都市圏で学んだ我が子が、いずれ地方の実家に戻ることを望む親は多い。しかし結局子ども世代は都会暮らしが軌道に乗り、地元に戻らないというパターンも多々あるだろう。それが地方過疎化の一つの原因にもなっている。

「そうだと思います。特に四国は人口減少が深刻で、2050年には今よりも30%人口が減る見込みだって言われているんです。東京で大学を出ても、地元ではふさわしい仕事がないとなると、戻りにくいですよね。

僕だって例外ではないです。実家は地元の人を対象にした制服や作業服の卸なので、四国で働く人が減れば、ビジネスチャンスがゼロではないにしても、じわじわ売り上げは下がっていくでしょう」

それでも、海野さんは地元四国の、香川県に戻る。

「理由はふたつあって、ひとつは香川に可能性を感じているからです。今年の盆に帰ったとき、久しぶりにいくつか観光地に行ったのですが、欧米系の旅行者がたくさんいて驚きました。

こんな小さな県の、まったくアクセスが良いとは言えない瀬戸内の島にもたくさん人が集まっていて、香川には豊かな観光資源があるんだなと実感しました。

実際、僕も一度県外に出てみると、瀬戸内海の景色の素晴らしさや、高松市内にある名勝・栗林(りつりん)公園のありがたみに気づきましたね。香川は穏やかな波間に島々が浮かぶ海に縁どられ、自然豊富、文化もあります。

東京に比べたら規模は小さいですが、買い物の利便性も悪くない。僕の地元だからというだけでなく、誰が来ても住みやすいんじゃないでしょうか。

結論として、僕は地元が大好きなんです。神戸、東京の良さを知ったからこそ、より地元を誇れるようになりました」

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