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「いつかは地元へ」香川を愛する25歳の東京ぐらし 困難な未来でも家業を継ぐことに迷いはなく

東洋経済オンライン / 2024年11月18日 9時20分

香川に戻ったら家業を継ぐことにプラスして、インバウンド関連のビジネスのサポートなどにもチャレンジしてみたいという海野さん。その際には現在勤務している企業のマーケティングのノウハウが役立ちそうだ。

「会社ではまだまだ新米で、先輩のサポートの立場ですが、貴重な経験を積ませてもらっています。多様なクライアントに伴走させてもらうことで、制約のなかで成果を出す力を鍛えられている実感があって、将来のやりたいことのためにも役立つと感じていますね」

困難な未来でも、背負う準備はできている

彼にはもうひとつ、四国に帰る理由がある。

「両親の存在です。僕はめちゃくちゃ両親と仲が良いんですよ! ひとりっ子で、いとこもほとんどいないので両親との結びつきがすごく強いんです。こんなことを言ったら親に怒られるかもしれないですが、30歳ほど年齢が違うのに、どこか友達のような距離の近さがあります。だから親の歩んできた道をなぞることに、疑問がないんですよね」

近年は友達のような親子が多いという。今の若者の親世代といえば70年代、80年代に生まれた世代だろうが、戦中・戦後・バブル期などの世代の親に比べて、文化的には子ども世代と大きな断絶がない。親子で共通の文化的背景を持っているが故に、距離が近く感じるのだろうか。

「趣味の面でも、両親の影響を強く受けています。飲食店巡りや音楽鑑賞。他にもファッションを父親と共有しています。僕、家族で着るTシャツを自分でデザインしたこともあるんですよ。それくらい家族としての一体感を大切にしています」

加えて、海野さんは地元で会社を営む生活自体にも、愛着があるという。

「両親共働きだったので、僕も学校が終われば会社に行って、従業員さんやお客様にとてもかわいがってもらいました。ずっと会社と一緒に育ってきたところがあり、いつか自分の得た経験や知識を会社に還元したいと感じるようになりましたね。

休日には必ずといえるほど、制服を卸しているお客様のお店を巡って、家族で外食する。そういう地元に根差したやり取りも、子ども心に温かく感じて、大好きでした」

四国の人口減のことを考えれば、これまでと違うビジネスを模索する必要があることは認識している。しかし一方で、地元密着で商売してきたからこそ守りたいつながりもある。歴史に裏打ちされた信頼関係があることは、代々その地で商売を行っているものの強みだ。

「実際には父親の立場なら、商売上で頭を抱えたくなることだってあるはずです。でもそういった困難もまるごと、自分が引き継いでいこうと思っています。『両親が助けてくれるならきっと大丈夫』という信頼感があるので、それほど不安はないですね」

東京では生涯続く人脈ができた

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