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「父は癌で母は鬱」ゴミ屋敷の実家が片付けで激変【再配信】 几帳面な人ほどゴミを捨てられなくなる理由

東洋経済オンライン / 2024年11月18日 8時0分

ゴミを捨てることに罪悪感を覚えてしまう人もいる。生ゴミなら気にせず捨てることができるが、「もう使わないけどまだ使えるモノ」はなかなか捨てづらい部分もある。ゴミ捨て場にまだ使えそうなベッドや家電が捨ててあると「もったいない」と感じることがあるだろう。いざ自分が捨てる側になると、モノを粗末に扱っているような気になってしまう。

「“まだ使えるから”という理由でモノを捨てられない人には、“1年を通して使わなかったら捨てるようにしましょう”と伝えています。悪いことをしている気になってしまうのは分かるんですが、たとえばベッドを捨てたとしても私たちの知らないところでリサイクルされているんです。テレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコン、すべて分解されて、再利用できる資源は取り出されます。ベッドもひとつひとつ裂いて、中のスプリングは資源になっています」

イーブイのような片付け業者や不用品回収業者が日頃から利用するのが、海外輸出だ。業界の間では「貿易」と呼ばれている。

「資源にならないゴミもゴミとして捨ててしまうと処理代がかかってきます。そこを浮かす意味合いでも、不用品の一部は東南アジアの発展途上国に送っています」

家具、食器、おもちゃなど、日本国内ではリユースできないうえに資源にもならないモノを引き取り、コンテナで海外へ輸出する専門業者がいるという。

「まずは自分の家や生活を最優先に考えていいと思うんです。ゴミとして捨てたものでも、回り回って誰かの役に立っていると思えば、罪悪感を覚えることもないでしょう」

入院した父と、鬱になった母は

あらかじめ依頼者が不用品を仕分けしてくれていたこともあり、2日間で片付けは完了した。父が過ごす部屋にはベッドがひとつ。当初、片付けに反対していた母の様子を娘が話す。

「私が片付けだすとイライラする母が、(業者が片付けることを)どう思うのか、その気持ちを分かってあげる余裕もなく、ちょっとパニックになったり、“私、今いらん人”と考え出して鬱がひどくなっていく様子は見ていて辛かったです。でも、1階部分がスッキリした後はすごくいい笑顔になっていました。今はまたイライラしていると思うんですけど」

これで父も安心して退院することができるだろう。

國友 公司:ルポライター

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