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40代から考える「人生設計と住まい」ロードマップ 建築家が「賃貸でもいい」と考える"本当の理由"

東洋経済オンライン / 2024年11月20日 8時40分

次の目的地に向かって切符を手に入れたら一安心とばかりに、人生のレールの上を猪突猛進するのではなく、自分の足で、自分で決めた人生の目的地に向かう。

多少の失敗はするかもしれないけれど、「なあに、今までの経験を生かし上手に乗り越えられるだろう」と進めば、自分だけの青い空と爽快な人生が眺められるに違いない。

そうと確信したなら話は早い。身軽なほうがフットワークも軽いから荷物も身に着ける物も必要最小限でいい。それらを包み込む家も小さくていいだろう。

人生の冒険にはお金もかかるから、多少の軍資金も残しておきたい。ますます小さな家で十分になってきた。はるか遠くを目指したくなってくれば、家を引っ越す必要も出てきそうだ。やっぱり家は小さくしておこう。

終の住処は昔の話。

たどり着いた理想郷で、愛おしいくらいかわいい小さな家で暮らしてみよう。マトリョーシカのようにだんだんコンパクトになる人生も潔い。

終の住処はいる?いらない?

75歳まで存分に生きたとして、そのあとはどうするのか?最終的に終の住処が必要になるではないか? そんな声も聞こえてきそうである。

たしかに高齢になると賃貸物件が借りにくくなる。「老後に住む家がない」と騒ぎ立てるメディアの記事も見かける。しかし、だからといって今住んでいる家を終の住処とするのは、人生の可能性を狭めることになるのであまりお勧めしない。

仮に30代・40代で子育てしやすい家を購入したとする。しかし、子どもは20年もしないうちに巣立ってしまう。残った家が夫婦2人暮らしにマッチしているかといえば、そうでない場合も多い。

もし、今お住まいの地域が気に入っていて、老後も住み続けたいと考えているなら、今の家で老後も快適に暮らせるかどうかを考えてみよう。

「ちょっと大きすぎるかもしれない」「段差が多くて老後は大変になるかもしれない」などの不安があるなら、同じ地域で住み替えをするという選択肢もアリだと思う。

まずは家の資産価値を調べて、値段が付くようなら売却。しばらくコンパクトなマンションを借り、じっくり終の住処となる物件を探す。またはそのまま賃貸を続け、身体の不自由を感じ始めたら高齢者向けの施設に移ってもいいだろう。

子どもに不動産を残したいという考えもあろうが、今や売却ができずに空き家となれば、資産ではなく「負動産」になりかねない。

そう考えると終の住処を持たずに生きる、すなわち終活として生き方をコンパクトにし、子どもの負担を最小限にすることは理にかなっていると思ったりもする。

とはいえ私も建築家なので、終の住処はいらないと断言するつもりはない。予算が許せば新築もいいものだ。コンパクトな家なら、今の大きな家を大規模リフォームするのと大して変わらない金額で建てられることもある。

私のクライアントにも老後に暮らしやすい家を新築して、第二の人生を謳歌している方がいらっしゃる。そして、全員が幸せそうだ。

湯山 重行:建築家・一級建築士。アトリエシゲ一級建築士事務所代表

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