妻との「永遠の別れ」男性が現実を受け入れるまで 「悲しいけれど」妻のいない人生を考えていく
東洋経済オンライン / 2024年11月20日 17時0分
前回は一緒に旅行したのに、どうして私だけが今こんな思いをしているんだろうか、なぜ亡くなったのが夫だったのかと、ついスマホを床にたたきつけてしまいました」
「SNSから離れてみるのも一つの方法ですよ」とお伝えしたところ、その女性は思いきってSNSのアカウントを削除することにしたそうです。
SNSでのつながりを断つと、最初は自分だけが置いてきぼりになったようで不安を感じたそうですが、慣れてくるとゆっくりと自分の気持ちと向き合うことができるようになったといいます。
「ひとりで過ごす時間も大切ですね。まわりの声に惑わされずに、自分の気持ちを大事にできるようになったような気がします」
以前よりもおだやかな口調で話してくれました。
「友人に『もう元気になった?』と聞かれるのが一番イヤでした」と話してくれたのは母親を亡くした40代の女性でした。
「悪気があって言っているわけではないことはわかっているんです。ですが、その言葉を聞くと、いつまでも悲しんでいないで早く元気になりなさいって言われているような気がするんです」
このように話されていました。
その女性は、親切から言ってくれるまわりの次のような言葉にも傷ついてしまったようです。
「『親は順番だから悲しんではいけないよ』『いつまでも泣いていると、お母さんが成仏できないよ』と言われると、どうして私の気持ちをわかってくれないんだろうと怒りを覚えてしまうことがあって……。そんな感情をもつ自分を腹立たしく思うんです。情けない」
まわりの人の不用意な言動に怒りを感じる一方で、そのような感情をもってしまう自分自身に対して罪悪感を抱くこともあります。
ほかの人の期待に応えようと無理をしてまで頑張る必要はないのではないでしょうか。
身近な人の何気ないひと言であっても心に刺さってしまうことがあるのです。
大切な人の死によって痛んでいる心が、さらに傷ついてしまうのはとても残念に思います。
よかれと思っての言葉に傷つく
そのときの状況にもよりますが、周囲の人のことをあまり気にしすぎずに、まずは自分の気持ちを優先することが大切なように思います。
「あきらめるしかしょうがない」「今を生きるしかない」と現実を突きつけてくる人もいます。
「あなたはまだマシですよ」とほかの人と比べて死別の重みを和らげようとする人もいるでしょう。
死別はだれもが一度ならず経験しますが、その体験や向き合い方は人によって大きく違うものです。まわりの人がよかれと思って発した言葉が、自分にはいいと思えないことはよくあります。
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