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「自信過剰な人」をリーダーにするのは進化のせい 「大言壮語」を信じがちな人類のやっかいな傾向

東洋経済オンライン / 2024年11月21日 12時0分

屈指の科学雑誌『ネイチャー』に最近掲載されたある論文は、自信過剰が存在するのは、かつてそれが人間の生存を助けていたからだ、と主張した。生き延びるために日々悪戦苦闘していた遠い昔には、幸運の女神は大胆不敵な人に微笑んだ。

この発見の背後にある計算は複雑だが、個人のレベルでは、自信過剰な人は食べ物のような稀少な資源を獲得する可能性が高かった。

たとえば、ライバルと対決する段になったら、少しばかり偉そうに振る舞ったり、攻撃的なまでに過剰な自信を見せたりすると、そうでなければ得られなかったような食事にありつけることがある。はったりが功を奏したからにほかならない。

自信過剰と空威張りの誇示行為を適切に行えば、ライバルを――自分より強いライバルでさえ――震え上がらせることができる。

もちろんライバルに見破られて、逆に叩きのめされたり殺されさえしたりするリスクは常にある。だが、他には飢え死にという選択肢しかなかった時代には、そのような賭けに出るのは理に適っていた。

同様に、社会のレベルでも、自己満足と用心深さは飢え死にを意味しかねなかった。その結果、生存のための戦いでは、たとえ成功の見込みが低かったとしても、何かやってみるほうが優ることが多かった。

したがって、集団は少し自信過剰の指導者に従うことを学んだ。ミーアキャットのムーブ・コールの人間版として、「あのサバンナのどこかに水場があることは、理論上ありうるけれど、実際にあるかどうかはまったくわからない」というのは、「あそこには必ず水場がある。さあ、ついてこい!」というのに比べると、はなはだ心もとない。

もしあなたが、渇きですでに死にかけていたら、何もしないでいるのはたいてい最悪であり、確かだと勝手に思い込んでいる人に従うほうがまだましですらある。

今日ほとんどの人間は、食事が得られなかったりオアシスを見つけられなかったりして死ぬようなリスクには直面していない。だから、しばしば間違っているにもかかわらず、いつも自分は正しいという確信を抱いている人に従うのは危険で、たいした見返りは期待できない。

これも進化のミスマッチの1つに数えられる。自信過剰になるという、過去には適応的だった行動は、私たちの暮らす世界が変わってしまったために、今や「非適応的」だ。それにもかかわらず、自信過剰が相変わらず蔓延(まんえん)している。

キャメロン・アンダーソン教授とセバスチャン・ブライオン教授が一連の調査を行うと、実験で編成した集団の中では、無能でも自信過剰な人々が素早く社会的な地位を獲得することがわかった。

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