心配でつい口に「子どものやる気そぐ」NGな言葉 受験期は親子のコミュニケーションが重要に
東洋経済オンライン / 2024年11月21日 16時0分
志望校合格者を次々と出す、プロの家庭教師。集団指導ではないため、どう合格に導いているのか、一般的にはあまり知られてはいません。しかし、そこには誰でも実践できる「教え方の極意」があります。『家庭教師の技術』を上梓した、15年を超える家庭教師・塾講師歴を持つ、青戸一之氏が極意をお話しします。
本人よりも親のほうが不安を抱く
受験シーズンもいよいよ終盤に差しかかってきました。この時期になると、受験生の心には不安や緊張が高まってくるため、家庭教師としては非常に気を遣います。
【写真】『家庭教師の技術』(青戸一之)(西岡壱誠)では、家庭教師の教え方の極意を紹介
これは生徒に対する声かけだけではありません。それよりもむしろ、親御さんのコミュニケーションの取り方に対するお願いのほうが重要になってきます。親の接し方や声かけ1つで、子どもの心は安らぎもすれば苦しくもなるからです。
今回は、受験期の子どもに対してどんな接し方をすればいいのか、親の理想的なスタンスについてお伝えしたいと思います。
家庭教師の仕事をしていると、教育熱心な親御さんにお会いすることが珍しくありません。テストの点数や偏差値など、子どもの成績の動向を常にチェックしながら「うちの子はこれで大丈夫でしょうか?」と、本人よりも親のほうが不安になっているようなご家庭です。
このような親御さんは、我が子を心配する気持ちから、あるいは危機感や反骨心をあおる目的から、「こんな成績では無理」「もっと勉強しなさい」という声かけをされるケースが多いです。
そこまで過剰な心配はしなくても、試験が近いのに子どもがスマホを触っていたりゲームをしていたりするのを見ると、「勉強しなくて大丈夫かな?」と感じて、つい同じようなことを言いたくなる親御さんも多いのではないでしょうか。
ただ、結論から言うと、このような接し方はまったくの逆効果です。決して子どもが勉強する発奮材料にはなりません。
まず知っておいていただきたいのは、受験生の心は常に不安が渦巻いているということです。表面的には普段と変わらないように見えても、心の中は「落ちたらどうしよう」「やるべきことが多すぎる」「頑張っているのに結果が出ない」と悩んでいます。その原因の1つが、今の大学入試の難化・複雑化です。
入試は難化傾向、プレッシャーも大きい
2021年度からセンター試験が共通テストに変わり、難易度がさらに上がりました。たとえば、センター試験と共通テストで英語リーディングの中身を比べてみると、試験時間は変わらないのに、問題の総語数の平均が1.5倍に増えているなど、同じ点数を取るために必要な勉強量が格段に増えたのです。
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