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深刻なプラスチック汚染、生産自体に総量規制を 汚染研究の第一人者が期待する条約制定

東洋経済オンライン / 2024年11月21日 8時0分

――どのようなメカニズムによって体内に取り込まれているのでしょうか。

紫外線などで劣化して細かくなったプラスチックが環境中に流出し、雨に洗われ、海に漂ううちにさらに細かくなり、魚や貝に取り込まれた後に、食を通じて人体に入り込んでいる。あるいは大気中に漂っている微細なプラスチックが呼吸を通じて体内に取り込まれるケースもある。また、ペットボトル飲料や市販の弁当などにもナノプラスチックが多く混入している。

そうした問題の深刻度はまだ研究途上だが、体内に入らないように予防的な対策を講じる必要があるとトンプソン氏は主張している。

――高田さんは、プラスチックに含まれる添加剤への懸念を指摘しています。

プラスチック製品は強度を持たせるために、添加剤が使用されている。この添加剤も、人の血液や尿、母乳などから検出されている。

プラスチック製品の場合、添加剤はプラスチックの分子の鎖の間に取り込まれる形になっていて、簡単には環境中に漏出しないとみられてきた。しかし、紫外線が当たったりしてその鎖がほどけ、プラスチック中の添加剤が環境中に出てきて、生物に取り込まれている。

実はそうした添加剤の人体への取り込みの事例は、マイクロプラスチックやナノプラスチックよりも多い。すでにいくつかの疾病との関係も指摘されている。

化学物質の国内規制だけでは不十分

――どのような事例がありますか。

ビスフェノールAというプラスチックの添加剤がある。これが女性の血液中から見つかっている。子宮内膜症の患者さんで検出例があるということと、健康な人の場合には検出されていないことから、子宮内膜症の発症とビスフェノールAの関係が示唆されている。内分泌撹乱化学物質であるということで、自主規制が行われているが、使用禁止にはなっていない。

また、ビスフェノールSなど少しだけ構造が違うが同じように内分泌撹乱作用を持つものへの置き換えも行われている。人への影響という点では意味のない代替だ。

――最近では、インターネット通販で購入した海外の製品から有害な化学物質が検出される事例が、韓国などで報告されています。

化学物質については、「化審法」(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)という日本国内の法律で規制されるとともに、国内のメーカーが使用を自粛しているケースもある。

しかし海外から入ってくる製品にそれが含まれていることもある。

たとえば、私たちが一昨年に調査した事例だが、日本で販売されていた中国製の土のう袋の素材に、UV328という紫外線吸収剤が含まれていた。当時、日本のメーカーはすでに自主規制をしていたため、日本製には入っていなかったが、中国製には含まれていた。

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