異質なモビリティ「Lean3」完成まで10年のワケ トヨタから独立「BEV環境」が変わりゆく中で
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 10時30分
全長およそ2.5mの3輪電動車「Lean3(リーン3)」に、試乗した。Lean3は、台湾企業との合弁スタートアップであるLean Mobility(リーンモビリティ)が、2025年に量産を目指す、パーソナルBEV(バッテリー駆動の電気自動車)だ。
【写真】デザインは異質だが運転はしやすく、超小型EVとしてのクオリティは高い
まずはリーン3について、説明しよう。リーン3のボディサイズは、全長2470mm×全幅970mm×全高1570mmで、ホイールベースは1800mm。ホイール内部にモーターを持つインホイールモーターで、後輪を駆動する。
駆動用電池はリン酸鉄リチウムイオン電池で、電気容量は8.1kWh。充電時間はAC200Vで約5時間、満充電での航続距離は100km(開発中の暫定値)だ。
車両の区分は、日本では原付ミニカー。そのため1人乗りで、最高速度は時速60kmに設定されているが、超小型モビリティとして型式指定を取れば、2人乗りも可能になるという。
実際、車両の生産に加えて販売も行う台湾では、ヨーロッパ規格のカテゴリーL5となるため、2人乗りで最高速度は時速80kmになっている。
車体がリーンする(傾く)独特の感覚
試乗したのは2024年11月1日、場所は羽田空港に近い羽田イノベーションシティの一画だ。走行した印象は、「動きに少し慣れれば、誰でも気軽に楽しめる」といったもの。
ハンドルをあまり大きく切らなくても、車両全体がコーナー内側に向かって大きくリーン(傾いて)走行するのが特徴だ。
自転車やオートバイの場合、低速走行で大きく車両をリーンさせると車両が倒れてしまうが、リーン3は低速でリーンしても倒れない。そのため、車両全体の安定感とドライバーとしての安心感がある。
【写真】異質なモビリティ?「Lean3」を詳しく見る
これは、リーンモビリティが「アクティブ・リーン・システム」と称するもので、Gジャイロセンサーによって常に車両姿勢を推定しながら、コーナリング時に独自開発のサスペンション機能を作動させ、最適なリーン姿勢で走行する機構によるものだ。
このリーン3を見て、「あれに似ているのでは?」と思った人もいるだろう。トヨタが量産を目指して研究開発していた「i-ROAD(アイロード)」のことだ。それは当然のことで、両モデルの開発責任者は同じ、谷中壯弘(あきひろ)氏なのである。
i-ROADは後輪操舵、リーン3は前輪操舵
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