「観光客が土下座強要?」に見るFENDIの反省点 インバウンド対応を迫られる各企業が今すべきこと
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 9時0分
10月下旬、東京・銀座にある高級ブランド店「フェンディ」で、中国人観光客が従業員に“土下座”をさせた、というニュースが話題となりました。
【画像】「SNSへの投稿はカスハラ?」JALとANAが共同で策定した「カスタマーハラスメントに対する方針」
中国人観光客が、従業員数名がひざまずいている様子とその従業員らの名刺を写した写真をSNSにアップし、それを現地メディアが取り上げたことで騒動になったようです。
ストールを購入しようと店を訪れた中国人観光客が、試着していたストールを店員に剥ぎ取られ、憤慨したことが発端とのこと。観光客自身は、「土下座を強要していない」とコメントしています。
このニュースを目にして、筆者は、日本の「おもてなし」文化が過剰な謝罪に見えてしまったのではないかとまず思いました。
顧客第一主義が事態を招いた?
日本ではブランド店に限らず、飛行機の客室乗務員、旅館、病院、車のディーラーでも、座っているお客様に対して(両ひざではなくても)ひざまずき、目線を合わせながらの接客は少なからずあります。
もしかすると今回の件も、土下座をしたのではなく日常の接客スタイルて、ブランドイメージを守る接客、または日本の「おもてなし」文化によるものが、“土下座謝罪”に見えてしまった可能性も考えられます。
ほかにも、中国系の方は声が大きいという側面もあります。中国語の発音はイントネーションによって意味が変わるので、大きな声で話さないと正確に伝わらないためです。さらに、日本語と外国語では音節の違いがあり、お互いに早口に聞こえることもあります。
こうした要素が絡みあって、「大きな声で早口」=「怒られている(まくしたてられている)」と店員側も捉えてしまい、ひざまずく(土下座)という行為に至ってしまった、ということも考えられます。
とはいえ、従業員が精神的苦痛を受ける状況になってしまうのは会社としてもよくありません。
「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が問題となる中、改めて会社としてどのような行動が望ましかったか、振り返っていきます。
今回の対応は何がいけなかったのか
① 土下座はしなくてよかった
少し前の事例になりますが、2013年、衣料品チェーン「ファッションセンターしまむら」で従業員にカスハラをした客が逮捕される事件がありました。
タオルケットを購入した客が、商品に穴が開いていたことに腹を立て店舗に行き、商品代の返金に加えて、返品のために費やした時間に対する誠意と交通費も要求。さらに謝罪の意をあらわす「土下座」を強要し、その姿をSNSに投稿したことで、SNS上で大炎上しました。
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