「観光客が土下座強要?」に見るFENDIの反省点 インバウンド対応を迫られる各企業が今すべきこと
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 9時0分
たとえば、「写真撮影は禁止としております。ご遠慮ください」とお伝えしてみる。そして何度も警告したにもかかわらず撮影行為をやめていただけなかった場合は、お引き取りいただくなど、対処が必要です。
また、気づいたときにはすでに投稿されていて、その内容に何らかの悪意が感じられるようなものであれば、お客様が罪に問われる可能性がでてきます。大切にしたいお客様を犯罪者として扱いたくないとの思いは、会社側としてもあるのではないでしょうか。
一方で、写真撮影が可能なのであれば、「お写真を投稿する際の注意事項をお伝えいたします」などと伝え、撮影時のルールを共有することが必要です。これは、従業員だけでなく、他のお客様への迷惑行為になる危険性もあるからです。
従業員を守るためにも、お客様を大切にするためにも、あらかじめルールを決め、毅然とした行動が必要です。
③ 会社としてコメントを出したほうがいい
今回のフェンディの件は、報道各社が取材を申し込んでいますが、会社側からの回答はまだないようです。
そもそもSNSで拡散された内容や報道されている内容が事実ではない場合は、名誉毀損罪に該当する可能性もあります。
もし「土下座謝罪が事実だった」場合、仮に店舗責任者が土下座をするように従業員へ指示をしていたとなると、従業員から安全配慮義務違反として、損害賠償を請求されるおそれもあります。
そうしたことも含め、行動に至った経緯や背景を明確に説明することは重要です。
加えて、再発防止に向けた具体的な改善策の提示や、従業員へのサポートなど、今後の会社としての姿勢を見せることも企業全体の信頼性向上にもつながります。
近年インバウンド需要が高まり、外国のお客様も増えています。日本人顧客のみならず、外国人顧客とトラブルに発展しないためにも、企業側の準備は必要です。
企業が「カスハラ」から従業員を守るために
まず、カスハラの判断基準を明文化することが必要です。
明確にすることは、従業員と顧客がルールを共有することになります。具体的なカスハラの行為がわかれば、常識的なお客様であれば、気をつけようと思うはずです。
仮に外国人のお客様からのクレームが起きたときも、判断基準が明確であれば「これはカスハラではないか」とアンテナを立てることができます。それにより、通訳者からの説明、上司への速やかな報告、嫌がらせからの分離など、会社側として従業員を守るための適切な行動がとれるようになります。
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