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斎藤氏のSNSの使い方は「極めて真面目」だった 選挙報道しないテレビがSNSになぜ苦言?

東洋経済オンライン / 2024年11月22日 8時20分

だが同時に、斎藤氏のSNSの使い方はまったくトリッキーなものではない。取材に答えた有権者たちは「テレビで悪人と思っていたら、真面目に改革に取り組んでいたと知った」ので彼に投票したと言っていた。つまり、SNSを通じて実直に自分の考えをコツコツ投稿していたら、それが多くの有権者に届いたのだ。SNSはデマや中傷も撒き散らしたかもしれないが、言葉を直接届けるツールとしてストレートに機能しただけなのだ。

例えば都知事選挙での石丸伸二氏は街頭演説をYouTubeで配信し、聴衆にも投稿を呼びかける実に巧みな戦術を繰り広げた。衆議院選挙での玉木雄一郎氏はその石丸氏の手法を真似つつ、「手取りを増やす」政策の濃い中身を長尺動画で浸透させた。

そんなSNSマーケッター顔負けの手法を駆使した成功例に比べると、斎藤氏が行った手法は極めて基本に忠実で、毎日投稿を続けただけ。彼のXのフォロワー数が激増したことは伝えられたが、石丸氏や国民民主党とは違いYouTubeの投稿数はさほど多くない。

斎藤氏はコツコツ投稿を続けながらこれまでの改革や今後の考えを投稿し、それが書かれているInstagram、YouTube、ホームページなどに自然と流れる構造ができていた。と言ってもきちんとリンクが貼られているだけだが。つまりXで彼の行動を追ううちに、彼の政策にたどり着くようになっていたのだ。だから先述の有権者たちの「真面目に改革に取り組んでいたと知った」の発言につながった。手練手管を駆使したのではなく、真面目にやってきたことを真面目に投稿しただけなのだ。

実直さと政策が伝わる「仕組み」

一点だけ、興味深いのは「本人のアカウント」と「応援アカウント」を使い分けていたことだ。応援アカウントのほうはスタッフが運用していたようだ。この2つのアカウントが相互にリポストしあうことで、人々の目に届く機会が増えた。

ただそもそも、斎藤氏はXを長らく使い続けていた。2021年に知事選挙に出る準備を始めた時から使っており、知事時代も県民のために投稿を続けていた。例えばメディアと議会に責められていた8月には台風の接近への注意を呼びかけている。

失職を選択した時は自分の責任を詫びながら「でも、やはり改革を止めたくない」と投稿し、ものすごく多くの反応を得ていた。意外にもリプライのほとんどは応援で、支持者の母体はすでにできていたのだ。

その後は、各所で立って孤独に街頭活動する様子を本人が投稿し、応援アカウントの投稿をリポストすることをコツコツ毎日のように続けている。SNSが上手と言っても、この愚直な投稿を毎日行っていただけだ。

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