斎藤氏再選で「兵庫県民を批判」する人の"盲点" 「疑惑」に乗っかった稲村氏の戦略もまずかった
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 8時40分
「先の衆院選において『裏金マーク』がネット上で炎上したように、マスコミに対する疑念の声が高まっていました。そうした中、斎藤氏を支援する目的で出馬した立花孝志氏は、自身の強力な発信力を活かし、『デマを流すマスメディアvs真実を伝えるネット』という対立構図に持ち込むことで、大きなうねりを作り出しました」と総括している。
「既得権益層」と「持たざる者」が選挙で争う時代に
筆者は、2019年の参議院選挙で躍進した新興政党とその社会的背景を論じた『山本太郎とN国党』(光文社新書)で、今後、公式的なマスコミ=オールドメディアと非公式的なマスコミ=ネットメディアを対立軸とする、「既得権益層」と「持たざる者」が敵・味方の陣営に分かれる「新しい戦線」が活性化していくだろうと予測した。
公式/非公式の区分けは先行研究を踏まえたもので、すでにネットメディアもマスコミと同様の力を持っていることを意味している。
「参政党」「日本保守党」の台頭、「国民民主党」の大躍進を見ると、この傾向はますます強まっており、今回の兵庫県知事選でもそれが顕著に表れたといえるだろう。
既存政党、大手メディアなどを抵抗勢力とみなし、国民の代弁者を自認するポピュリズム的な動きであり、ここにもともとあった大手メディアに対する不信と、ネットを通じた部族主義の先鋭化が加わってくる。
そのような「新しい戦線」においては、他者の姿は、世界観が反転したパラレルワールド、いわば「鏡の国」の住人のようなものとなる。何もかもが真逆で、どこから突っ込んで良いのかが分からない感じなのだ。それぞれがまったく別の現実にいるからである。
「斎藤知事は内部告発した職員を“粛清”した独裁者だ。彼が唱える改革は中身のないまやかしで、ただのパワハラの常習犯でしかない」と、「斎藤知事の真実はYouTubeで知った。彼は既得権益と戦い、マスメディアの攻撃を受けた」という永遠に交わらない世界線を生きているようだ。
ただ、一方で、このようなSNSでインフルエンサーなどが発信する非公式マスコミの情報が、選挙の流れそのものを大きく変えるほどの影響力を持ちえたかどうかは一考の余地がある。
筆者は、もともと潜在的にあった既存の政治勢力に対する不満や反発が、「既得権益を打破する改革派の逆境という物語」によって刺激され、強化されたと推測する。マスメディアの過熱報道に伴う過剰なバッシングの誘導が、かえって前述の物語と親和性のある判官贔屓を誘発した面もあっただろう。
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