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斎藤氏再選で「兵庫県民を批判」する人の"盲点" 「疑惑」に乗っかった稲村氏の戦略もまずかった

東洋経済オンライン / 2024年11月22日 8時40分

この場合、最も重要なことは、人々は「新しい戦線」以前に「現状に対するノー」を突き付けていることにある。兵庫では20年もの長期にわたって体制が変わらず、改革志向のニーズが高まっていた。斎藤氏による知事公用車「センチュリー」の解約とワンボックス車への変更による経費削減や、県職員OBの外郭団体への天下りの制限、県庁舎の建て替えの見直しなどが好意的に受け止められていた点に注意を払う必要がある。

稲村氏は、魅力的なビジョンを示せていたのか?

なので、「YouTubeに騙されている」「兵庫県民は情弱」などという決まり文句で片付けると事態を見誤るだろう。非公式マスコミによる情報操作による影響は限定的というより、「現状に対するノー」という改革志向を正当化してくれる「大義」を提供したと考えるほうが自然だ。

しかも、対抗馬であった稲村氏は、公約でハラスメント防止条例の制定や公益通報制度の見直しなどを強く打ち出すなど、相手方の「疑惑」に乗っかる方針を取り、魅力的なビジョンを示すこととの間のバランスを失ったように見える。

アメリカのトランプ氏再選と似た現象が展開されたといえる。アメリカにおけるトランプ氏の圧勝は、ハリス氏がインフレや物価高などよりも、人工妊娠中絶の権利擁護などに焦点を当て、しかもバイデン政権との違いを明確にできなかったことが要因とされている。ハリス氏がトランプ氏の舌戦ゲームに参加したことも裏目に出た。結局は相手の批判に時間を奪われることになるからだ。

庶民にとっての関心は「生活」である

庶民にとっての最大の関心事は、いうまでもなく生活であり、経済状況に直結する争点である。

知事選では、おそらく県民の多くは、パワハラなどよりも特定の個人や団体が税金のムダ使いや、特権の享受をしていることなどを正すことへの関心が高く、「既得権益にノー」と言えるかどうかという能力的なイメージを優先したといえる。また、単純に斎藤氏の他に食指が動く候補が見当たらなかったという消去法的な選択も少なくなかっただろう。

国民民主党の玉木代表の不倫報道後、逆に支持が高まった現象は、スキャンダルよりも「手取りを増やす」政策が重要視された好個の例である。

実際、国民民主党の支持率は不倫報道があったにもかかわらず前回調査より10ポイント上昇の11%となり、結党以来、過去最高を記録した(日本経済新聞社とテレビ東京が行った11月15〜17日の世論調査)。

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