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「#MeToo」追放セレブ、その後も続く苦難の日々 無罪となったケビン・スペイシーもマイホームを失う

東洋経済オンライン / 2024年11月24日 10時0分

今年6月に出演した配信のインタビュー番組で、スペイシーは、「オファーをくれる人はたくさんいるのだが、話は進んでも、トップの誰かが必ずストップをかけるのだ」と嘆いていた。とりわけ大きい会社は、疑いが晴れても、被害を受けたと言っている人がいる以上、近寄らないほうがいいと用心するのだ。

「#MeToo」以後、スペイシーが出演したのは、フランコ・ネロが監督したイタリア映画『The Man Who Drew God』、やはりイタリアで撮影され、今月のカイロ映画祭で上映された『The Contract』、アメリカ映画だがスペイシー以外有名人が出ていない『Peter Five Eight』など、誰も知らない映画のみ。

2018年に公開された『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』、Netflixが配信することになっている『Gore』は、「#MeToo」前に撮影されたものだ。

数々の裁判で弁護士代が膨れ上がり、まだ払いきれていないスペイシーは、無念にもマイホームまで失ってしまった。今こそお金が必要なのに、7年前までオスカー俳優にふさわしいギャラを文句なしに払ってくれた人たちは、そっぽを向いたままなのである。

『スパイダーマン』出演俳優は、もっと厳しい

裁判で示談となったジェームズ・フランコは、より厳しい。『スパイダーマン』三部作や『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』、『オズ はじまりの戦い』などメジャースタジオの大作に出演し、『127時間』でオスカーに候補入りしたフランコは、自身がオープンした演技スクールで、オーディションと称しては女性の生徒に性的な演技をさせたり、時には相手役を務めて不適切な行動を取ったりしたうえ、それらをビデオ録画もしていた。

「#MeToo」勃発後、生徒たちは賠償金と録画映像を返してもらうことを要求し、フランコを集団訴訟。フランコは220万ドルを支払うことに合意、スクールは閉鎖され、この件は解決した。しかし、フランコのキャリアが受けた致命的なダメージは修復できていない。

フランコと何度も共演し、個人的な友人でもあったセス・ローゲンも、最初のほうこそ少し余地を残す発言をしてはいたが、今ではもう組まないと言っている。

「#MeToo」後に公開されたインディーズ映画『ゼロヴィル』、アニメーション映画『Arctic Dogs』は、いずれも「#MeToo」前に製作されたものだ。

ただし、この夏ヨーロッパの一部の国で公開された『The Price of Money: A Largo Winch Adventure』は、2023年に撮影されている。監督はベルギー人で、映画はベルギーとフランスの合作。1970年代にレイプ事件でアメリカを逃亡したロマン・ポランスキーや、「#MeToo」で1990年代の養女虐待疑惑にまた脚光が当たったウディ・アレンもヨーロッパで活動を続けているし、キャンセルされた業界人には海外という手があるということだ。

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